究建築研究室 Q-Labo.
究建築研究室 Q-Archi. Labo.|京都の建築設計事務所

MEMO 雑記・ブログ: 究建築研究室 Q-Labo.|https://q-labo.info/memo/
Copyright © 柳沢究 Kiwamu YANAGISAWA, 2008-2024

MEMO 雑記・ブログ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 全てのページ

最近の活動

なかなか最近の活動がこちらで書けていませんが、Facebookの方では、ちょくちょく書いています。アカウントをお持ちの方はよろしければご覧になってください(面識の無い方で友達リクエストいただく場合はメッセージも合わせてお願いします)。

Facebook

大学研究室としての活動も、こちらで随時アップされています。
>> 柳沢研究室|京都大学居住空間学講座
>> 京都大学柳沢研究室@Facebook

| MEMO 雑記・ブログ | 19.04.01

「京都大学吉田寮 再生提案を募集します。」

存続の危機に瀕している京大吉田寮の再生提案の募集が行われています。ぜひさまざまな方面からご応募を。

公式サイトからエントリーすると、現況図面や各種資料を入手できます。オープンな見学会も、これまでにない貴重な機会と思います。興味あるけど一人では怖くて行けなかった人も、ぜひこの機会に(笑)。審査員ならぬコメンテーターも豪華です。

運営は、OBや各所の支援を受けながらも、寮生自身が行っています。柳沢個人としては正直、在学中は吉田寮があまり好きではありませんでした。しかしもし吉田寮が(物理的にあるいは場所としても)なくなったら、それは京都大学にとどまらない大きな文化的損失であると考え、この取り組みを応援しています。不思議な吉田寮の存在を許す、懐の深い京都大学であってほしいと願います。


yoshidaryo100.jpg


以下、公式サイトより(一部修正)
-------------------------------------
「京都大学吉田寮 再生提案を募集します。」
http://yoshidaryo100nen.deci.jp/2018/

現存する最古の木造学生寮「吉田寮」の再生デザイン提案を募集し、学生寮の見学会、展示会・公開審査会を行います。

 吉田寮「現棟」は1913年(大正2年)に建てられた現存する日本最古の木造学生寮建築です。しかし築105年を迎えた現棟は老朽化による災害への弱さが懸念されており、京都大学は2017年12月、「すべての吉田寮生は2018年9月末までに現棟・新棟から退舎すること」を吉田寮生に言い渡しました。寮生が退去した後の吉田寮をどのように扱うのかについては明らかにされていません。私たちは現棟の建物そのものがなくなること、またその建物が持つ大正木造建築の魅力や歴史の蓄積が失われてしまうことを危惧して、建物の保存活用と歴史・文化の継承に市民に開いた形で取り組むために、このような企画をたちあげました。

☆募集部門
〇再生デザイン部門、〇継承プログラム部門

☆スケジュール
〇見学会:7月29日(土)・30日(日)、8月4日(土)・5日(日)
〇応募締め切り:9月13日(木) 17時必着
〇応募作品展示会:9月18日(火)~24日(月)
〇意見交換会(公開シンポジウム):9月23日(日)
各界の有識者を招き、参加者全員で表彰作品を選考するとともに、 吉田寮の未来を思い描く公開シンポジウムを開催します。

☆エントリー・案内・資料配布について
エントリーをしていただいた方に、見学会・展示会・意見交換会の案内や吉田寮の建築図面などの資料を送信いたします。エントリーは公式サイト上で行えます。

※詳細は公式サイトをご覧ください。

| MEMO 雑記・ブログ , MEMO 雑記・ブログ | 18.07.13

「京都大学吉田寮 再生提案を募集します。」

存続の危機に瀕している京大吉田寮の再生提案の募集が行われています。ぜひさまざまな方面からご応募を。

公式サイトからエントリーすると、現況図面や各種資料を入手できます。オープンな見学会も、これまでにない貴重な機会と思います。興味あるけど一人では怖くて行けなかった人も、ぜひこの機会に(笑)。審査員ならぬコメンテーターも豪華です。

運営は、OBや各所の支援を受けながらも、寮生自身が行っています。柳沢個人としては正直、在学中は吉田寮があまり好きではありませんでした。しかしもし吉田寮が(物理的にあるいは場所としても)なくなったら、それは京都大学にとどまらない大きな文化的損失であると考え、この取り組みを応援しています。不思議な吉田寮の存在を許す、懐の深い京都大学であってほしいと願います。


yoshidaryo100.jpg


以下、公式サイトより(一部修正)
-------------------------------------
「京都大学吉田寮 再生提案を募集します。」
http://yoshidaryo100nen.deci.jp/2018/

現存する最古の木造学生寮「吉田寮」の再生デザイン提案を募集し、学生寮の見学会、展示会・公開審査会を行います。

 吉田寮「現棟」は1913年(大正2年)に建てられた現存する日本最古の木造学生寮建築です。しかし築105年を迎えた現棟は老朽化による災害への弱さが懸念されており、京都大学は2017年12月、「すべての吉田寮生は2018年9月末までに現棟・新棟から退舎すること」を吉田寮生に言い渡しました。寮生が退去した後の吉田寮をどのように扱うのかについては明らかにされていません。私たちは現棟の建物そのものがなくなること、またその建物が持つ大正木造建築の魅力や歴史の蓄積が失われてしまうことを危惧して、建物の保存活用と歴史・文化の継承に市民に開いた形で取り組むために、このような企画をたちあげました。

☆募集部門
〇再生デザイン部門、〇継承プログラム部門

☆スケジュール
〇見学会:7月29日(土)・30日(日)、8月4日(土)・5日(日)
〇応募締め切り:9月13日(木) 17時必着
〇応募作品展示会:9月18日(火)~24日(月)
〇意見交換会(公開シンポジウム):9月23日(日)
各界の有識者を招き、参加者全員で表彰作品を選考するとともに、 吉田寮の未来を思い描く公開シンポジウムを開催します。

☆エントリー・案内・資料配布について
エントリーをしていただいた方に、見学会・展示会・意見交換会の案内や吉田寮の建築図面などの資料を送信いたします。エントリーは公式サイト上で行えます。

※詳細は公式サイトをご覧ください。

| MEMO 雑記・ブログ , MEMO 雑記・ブログ | 18.07.13

八木邸(藤井厚二, 1930)

6月のことですが、特別公開で伺った寝屋川香里園の八木邸(藤井厚二設計、1930年)。竹中大工道具館の藤井厚二展と連動して、松隈章さんの解説付きの見学会でした。

いやあ、休日をつぶしてでも行ってよかったです。聴竹居の完成直後の設計とあって、デザインや空間の雰囲気は聴竹居によく似ているが、少し緩い感じ。特に外観はだいぶ力が抜けている。しかし聴竹居の、自宅ならではの?隅々まで隙なく気の張り詰めた設計に比べると、むしろ住宅らしいおおらかさを感じさせよかったです。一般的な住宅との差分も分かりやすい。毎月数日公開されているようです。現代の住宅として見ても、たくさん見所がある。地味ながらおススメです。
http://www.yagiteiclub.com


内部の写真は載せられませんが、以下印象のメモ。

プランは東西にのびる廊下の両側に諸室を配した中廊下型(聴竹居はホール状の居間を囲むホール型)。洋室主体であり、構成だけ見れば戦前の中廊下型住宅よりは現代のLDK住宅に近い。ところが歩き回ってみると不思議とスルスル部屋が繋がり、中廊下の堅苦しい感じがない。
どうしてかと考えて気付くのは、納戸以外の部屋は全て(脱衣、浴室、女中室も)複数方向に接続していること。建具はほぼ全て引戸。近世武家住宅の続き間のようにツルっと隣の部屋に滑り込む感覚がある。各所にこれでもかと開いた欄間も通風のためだろうが、視覚的な広がりにも寄与している。一方で要所の雁木状の配置が見えがくれや陰影のある入隅出隅をつくり、全体としてとても複雑な体験。
開口部の位置や高さが、部屋毎どころか開口毎に異なることにも驚く。真壁のリズムの中で鴨居や窓台の水平線が融通にズレてくる。それがとても洒脱で真似してみたいのだけど、日本建築の意匠や空間性が身に染み込んでいないと、なかなか難しいのかなあとも思う。居間の床の間とソファベンチが複合した、ハイブリッド感溢れるデザインも。綺麗に使いこまれたキッチンの鍋や小物も見応えがあります。

図面出展:https://jp.toto.com/tsushin/2018_newyear/modernhouse.htm

| MEMO 雑記・ブログ | 18.07.06

堀部安嗣氏と横内敏人氏の対談企画

horibeyokouchi1.jpg

2月17日、キャンパスプラザ京都にて「小さな五角形の家」(学芸出版社)出版記念の堀部安嗣氏と横内敏人氏の対談企画に、聞き手役として登壇。超ベテラン2人の間で、実に緊張しましたが、なんとか役割は果たせたかなと思います。お二人のマイルドな人柄にも助けられ、懇親会も含めて楽しい時間でした。当日は12時過ぎまで飲んで京都に泊まって、翌朝一で大学に直行し入試監督。疲れました。

住宅には「懐かしさ」を喚起することが必要という堀部さんや、建築の価値と住宅の価値が長らく分離してしまっていた中それを久しぶりに統合したのが堀部建築という横内さんの指摘、「どっちつかずの建築」がよいという話など、予定外に飛び出した興味深いトピックがいろいろあり、さらに聞いてみたい話はたくさんありつつも時間切れ。ただ、話の詳しい中身は、司会に集中しすぎてあまりよく覚えておらず。だれかに記録をもらわないと。
(写真はまったく撮ってなかったので学芸出版社のtwitterからお借りしました)

horibeyokouchi2.jpg

| MEMO 雑記・ブログ | 17.02.19

オーセンティシティとインテグリティ

170204.jpg

2月4日、京都工繊大での研究会「文化遺産におけるオーセンティシティauthenticityとインテグリティintegrityの本質を考える」に参加する。主催者自身もまだ答えが見つかってない問題を扱うという、研究会らしい研究会で楽しかった。以下、あまり整理できてないけどメモとして記載します。

当日の議論は、世界文化遺産の登録の現場における評価基準としての実務的な有用性が主に軸になっていて、それはあまり本質的ではないのではと思ったが、稲葉伸子さんの、各国や現場の実態・工夫を包括し対象の価値を担保する概念があれば、それをオーセンティシティと呼ぼうがインテグリティと呼ぼうがどっちでもよいという話(意訳)や、清水重敦さんの変化する宇治の文化的景観のインテグリティをどう考えるかという話は、とても勉強になった。(インフィル・ビルディングの話も)

自身の関心としては、歴史的な街並みの中で新しい何かを作るときの、アリバイ的な不誠実な対応や、悪意のないしかし不適切な取り組みにどう対処するか、あるいは非文化財的建築のリノベーションでの、何でもありやったもん勝ち的状況をどう交通整理できるか、という問題意識があった。2つの問題は同じレベルではないけど、どちらもオーセンティシティとインテグリティにからんだ問題であると思う。

今回の研究会とは別の話だが、西洋絵画の修復の世界では、オーセンティシティはもちろん極めて繊細に取り扱われるんだけれど、たとえば絵画の一部が大きく欠損したような場合、材料や手法のオーセンティシティは多少失われてでも、作品の美的価値・鑑賞価値(作品としてのインテグリティ)を回復するために(判別可能かつ可逆的な方法でもって)補完的に筆を加えることが許される、という考え方があるという。これは文化財的建築物の補修での考え方も基本的に同じだと思う。欠損部材の新材による補完とそこへの古色の施与は、インテグリティを保つために行うのである。

上記の例に鑑みると、オーセンティシティとインテグリティは多分に重なる概念だ(というのは今日の研究会でよくわかった)けれど、両者はやはり重心というか軸足の位置が異なるのだと思う。どちらも「あるものが、まごうことなきそれ自身であること」をいうのだけど、個人的な理解では、オーセンティシティは時間的な連続性の正統さに、インテグリティは物的状態としての連続性に重心があるのだと思う。建築であっても、京都会館など文化財クラスのものはオーセンティシティで議論したらよいが、そうではないわりと普通建築や街並みを考える時、オーセンティシティを持ち出すと話が硬直化するので、インテグリティという考え方をうまく補助線にできないかなと思う。

とはいえ、研究会で何度も言及されていた「奈良ドキュメント以降のオーセンティシティ概念の拡張」にしたがえば、これはどっちもオーセンティシティに包含されるんだという。この拡張概念が共有されていないことが、分野をまたいだ時の話をややこしくしてるという強い印象を受けました。

| MEMO 雑記・ブログ | 17.02.05

三和土の土間:仕上がり

image.jpg

昨年11月にみなで叩いた三和土の土間、2ヶ月の養生を経て年末にご開帳しました。奥の土間は豊田のとても赤い土、たたき棒の跡も生々しく、何となくモロッコっぽい。行ったことないけど。玄関土間は普通の?サビ土。金鏝で丁寧におさえていただき、待庵の床壁のような表情となってます。どちらも土っぽいザラザラした感じはなく、きれいに締まっています。まだほのかに石灰の匂いがする。

170121.jpg

| MEMO 雑記・ブログ | 17.01.21

日本左官会議講演会@名古屋

161228_1.png

12月10日に名工大で開催された左官会議のイベント、日本左官会議講演会・名古屋編「職人がいる町、塗り壁のある暮らし — その終焉がもたらすもの」報告です。
>> 左官会議のページ

これまで人より少し左官に多く関わる機会のあったものとして少し登壇。主に学生に伝えたかったのは、(あえて功利的に)設計者は左官を使わないと損!ということ。日本の左官の技術は庶民的なものから超高級まで、ほんとうに幅広く厚く蓄積されてきた。それは日本の財産であり資源であり、日本の設計者が左官を使わないのは、日本の料理人が魚を扱わないようなものではないかと。あと、リノベーションと左官は、工法的にも質感の面でもとても相性がよいこと。挾土秀平さんや滋賀の小林さんらとの懇親会もとても楽しかった。

161228_2.jpg

| MEMO 雑記・ブログ | 16.12.28

三和土の土間

161111_1.jpg

11月頭の大学祭の休みを使って、二日がかりで学生たちと三和土(たたき)をつくりました。三和土の施工は3回目。以前は京都で住んでた町家の土間と、SSSの時にやって、ほぼ10年ぶり。なかなかにしんどいので、まさか3度目をするとは思わなかったけれど、このしんどさを含め、まさに体でダイレクトに建築をつくる感覚と、独特の質感・表情は他に変えがたい魅力があります。2日間でトータル10cmの厚さを、ひたすらたたくたたくたたく。私は今回は主に裏方にまわって、一番楽しいたたきは学生に譲りましたが。

161111_1.jpg 161111_1.jpg

中村さんの講義をききながら材料をつくる。材料のサバ土は花崗岩が風化したもの、花崗岩の主成分は長石・石英・雲母であること、炭酸Ca(石灰石)から酸化Ca(生石灰)・水酸化Ca(消石灰)また炭酸Caへの変化、などなど。三和土におけるニガリの役割は保水だと思うのだけど、まだよく腑に落ちない。

161111_1.jpg

楽しく勢いだけでたたけるのは最初の1時間くらい。あとはいかにきれいに効率よく省力でたたくかを、考え工夫しながらたたかないと、しんどい。たかが、たたくだけとはいえ、上手い下手の差が明確にでる。仕上がりにも性格があらわれるのは面白い。京都の庭師庄谷さんもはるばる来てくれ、さすがのプロの仕上がり。OBの岡田君も応援に来てくれ大活躍。

161111_1.jpg

土間は2つのパートにわかれ、一つは矢作の黄褐色の土、一つは豊田のなかなかに赤い土で仕上げる。現在は養生中でシートがかかっているので、仕上がった姿はまだ目にせず。

| MEMO 雑記・ブログ | 16.11.11

名城大で竹原義二氏特別講義

1日、名城にて竹原義二さんをお招きした特別講義を開催しました。会場の制作室はほぼ満員盛況、1・2年生の参加も多く、はるばる大阪からIFAの皆さんも。

第1部は、今回の企画を数ヶ月前から準備していた学生グループによる「竹原建築解題」として、1985年から2015年まで30年間の作品から5題を発表。作品そのものだけでなく、時代背景や同時代の建築作品との比較をし、空間については雑誌に発表された図面と写真をもとに50分の1の模型を作りながら読み込んだもの。担当した学生はかなり図面と空間を把握する力が鍛えられたのではないかと思う。101番目の家の模型は複雑すぎてついに未完成でしたが、それもまたよしでした。

第2部は竹原氏の講演。「無有」を造るときはサシで何時間も話を聞いたけど、講演会は初めて。古今東西の建築をみる目の話から近作について、また映画やマンガの話まで縦横融通に展開して、あちこちから問いかけや示唆が投げられるも答えは俄かには示されず、やや困惑しつつも不思議といい気分であるという感覚は、101番目の家の空間体験に通じるものがありました。歴史的空間を見る目と作品の関係の話は「無有」(学芸出版社、2007)
にも詳しい記述があります。

第3部は会場で懇親会。酒を片手に模型と竹原さんを囲んで。ふだん講演会などの懇親会があっても、もじもじして話しかけない学生もよく話す。講師の人柄もあるでしょうが、作品に思い切り向き合ったという自負があるからでしょう。第4部は居酒屋で、摂南大から駆けつけた学生も交えて終電ギリギリまでわいわい。

竹原さん、長時間にわたってまことにありがとうございました。

他の大学では建築家講演会がよくあるのに、名城では全然ない(いろいろな制度上の理由があるのですが)、という声にこたえて、今年度後期からMS-26という大学事業と同窓会の支援を受けて、3回の特別講義を企画しました(第1回青木茂氏、第2回西田司氏、第3回竹原義二氏)。とはいえ、せっかくいい講師に来てもらっても、一方的に話を聞く+質問パラパラではつまらない。滋賀県立大のダンワシツ等を参考に、講師ごとに2年生からM1までの5〜6人の学生企画グループをつくり、作品の予習・見学・勉強会、講師との事前打合せも学生が行い、さらに当日は作品研究を本人を前に発表するというプログラムに。

結果として、参加した学生はよくやったし、貴重かつ有意義な経験となったと思う。青木氏・西田氏の企画の準備段階はあまり見てないので分かりませんが、僕がフォローした竹原氏の企画では、大げさでなく、関わった学生たちの今後の人生にいくばくか影響を与えるものがあったと思います。その点では成功。やってよかった。

ただ、こうして書いてみるとちょっとお膳立てしすぎの気もします。財政的に大学が援助したり要所を教員がフォローするのはよいけど、本当は学生が全部自主的にやったらよいなあと思う。たいへんだろうけど、年1回でいいから。あと、建築家(でなくても誰でもいいけど)に口実をつくって会いに行く、その作品を訪問し図面や写真を徹底的に読み込む、それを元に話をする。やろうと思えば一人でできることでもあります。

Tags: | MEMO 雑記・ブログ | 16.03.05

弧篷庵忘筌の三国灯籠とリンガ

04.jpg
(写真は京都市文化観光資源保護財団「京の茶室」より)

研究室の先輩でもある京都の建築家・岩崎さんの弧篷庵忘筌についてのブログを見て思い出したこと。

上の写真にも写っている、忘筌の有名な明かり障子から見える軒先の庭にある「三国灯籠」は、傘が朝鮮・火袋が中国・竿が天竺、と三つの国に由来するパーツを組み合わせたものと言われています。数年前の特別公開で訪れた際、竿の頂部が丸まっているのに気付き、ははあ、インド伝来というのが本当なら、これはシヴァ・リンガの転用に違いないと思いました。その後いくつか解説を読んでも、そのことには触れたものは見たことがありませんが、桃山時代ならポルトガル人やオランダ人が、ゴアやアンコールあたりからそれを運んで来たなんてことは、すごくありえそうなことです。

ちなみにリンガ(リンガム)とは↑のようなもの(写真出典)。多くは石でできた、男性器を象ったシヴァ神のシンボルであり神体です。台座部分はヨーニと呼ばれる女性器を象ったもので、樋のような突起部が北を向くように据えられます(だからインドではリンガを見ると方位が分かる)。リンガは単にヨニの上に載っているのではなく、リンガがヨーニを貫いている状態を表しています。リンガの持ち主はもちろんシヴァ神です。ヨーニを貫通したリンガが見えているということは、つまり我々のいるこの寺院(ひいては世界)はヨーニの内側=胎内にあることになります。そのヨーニの持ち主(この宇宙?)とシヴァ神がいままさに交わっている、という宇宙の姿をリンガは示しているのです。

・・・といったことを話題にしながら、忘筌でお茶会が催されていたと想像するのも楽しいものです。

Tags: | MEMO 雑記・ブログ | 15.10.01

古色の配合試験

今日の午前中は有松の塀に塗る古色の試験塗装をやっていた。

柿渋と松煙、酒、はかりや計量カップを用意してさながらクッキング。松煙は油分を含むためか、そのままでは柿渋や水に馴染まないが、アルコールだと溶ける。原理は分からない。今まで日本酒を使うことが多かったが、今回焼酎と比べたら一目瞭然で焼酎の方がよく溶けることが分かった。アルコール度数の差か。最終的に柿渋と混ぜる松煙の量別に、杉と桧、計20枚のサンプルをつくる。色の決定は乾いてから。

こんな風な古色塗装を初めてやったのは、15年前に町家再生に取り組んでた大学院生の頃。その時のデータをまとめてHPに載せてたら雑誌コンフォルトの木材塗装特集に書かせてもらうことになり、それを読んだ当時「サツキとメイの家」に取り組んでいた大工の中村さんが問合せをくれた。名古屋に来たらその中村さんと子供の保育園が一緒でびっくりして、いま学生たちと一緒にものづくりをしてお世話になっている。なかなか感慨深いのである。

古色の塗装試験レポート

●日時:
2015年3月16日(月)9時15分~11時30分

●作業人数:4人
(柳沢、及部、加藤、岡田)

●主な作業内容:
□材料: 高粘度柿渋(大杉)、松煙、アルコール(焼酎、日本酒)、水、木材(杉と桧を各10枚)
□用具: ペットボトル、計量カップ、計量スプーン、はかり、刷毛、ウエス、漏斗、ボウル

□作業1: 松煙溶かしテスト
松煙少量を、水、焼酎、日本酒で溶いてみる。
結果は写真の通り。焼酎がもっともよく溶けたので、以降の作業は焼酎を使うことにする。

□作業2: 柿渋+松煙の配合量テスト
①ペットボトルを使い、高粘度柿渋を1.5倍に希釈《柿渋300cc+水150cc→450cc》。それをボウルに少量とり、杉と桧の板材に刷毛で塗布、半乾きの頃にウエスで拭きあげる。ボウルに余った分はペットボトルに戻す。
②①のペットボトルに《松煙大さじ1(6.8g)+焼酎大さじ2弱(≒20cc)》を溶いたものを加える。よく混ぜて、新しい板材に、①と同様に塗装、拭きあげ、余った塗料は戻す。
③②のペットボトルに②と同量の松煙+焼酎を溶いたものを加えて、同様に塗装。
④〜(10)同じようにして松煙の量が通算大さじ10になるまで繰り返す。
(11)①〜(10)で塗った板材の半分を二度塗りする。塗装方法は一度目と同じ。

●発見・疑問・気付きなど:
松煙は焼酎に最もよく溶けた。アルコール度数が高い方がよく溶けるということか?ただし焼酎で十分よく溶けるので、より度数の高いものを使う必要はない。
松煙はとにかく周りを汚す。松煙が付いた手で触ったものも汚れるので、事前の養生と事後の掃除をちゃんとやることが大事。
制作室で広々と作業できたため作業効率が良かった。

●決定・検討事項など:
本番塗装直前の乾いた状態をみて、本番の配合を決定する。

Tags: | MEMO 雑記・ブログ | 15.03.16

チャンディーガル Chandigarh:India, 2014

2014年8月25〜27日、インドに通いはじめてから15年にして、初めて念願のチャンディーガルを訪問しました。

計画されたチャンディーガルで、ヒンドゥー寺院がどのように扱われているかを見るのが目的の一つ。中規模以上の宗教施設は区画や立地がある程度定められている感じ。一方で街区の中の空地に、地図に載ってない小さめのコミュニティ寺院が自然発生?してる事例は確認できた。

都市の印象メモ。
チャンディーガルの骨格であるところのグリッド構造は、予想(期待?)に反して、体験的にはあまり強くなかった(京都や名古屋の方がずっと強い)。街区のサイズが1km前後と大きく、徒歩感覚ではグリッドを感じにくいこと、生い茂った街路樹の存在が、その理由か。ただ、車で移動していると規則的に繰り返される直線とラウンドアバウトのリズムが、計画性を感じさせる。ニューデリーに似た感覚。
セクター(街区)内部の道や施設配置も隅々まで計画された感はあるものの固くはない。セクター毎に商業ゾーンがあり、生活はしやすそう。しかし、セクター間の移動は徒歩では遠い上に魅力的な道ではない。全体的に車前提の計画。プランからは区別がつかないが、極めて整然とした賃貸?集合住宅ゾーンと雑然とした戸建ゾーンあり。とにかく公園と緑地は多い。ガーデンシティと呼んで誇張ではないと思う。
南西部は道だけが引かれ、上物はまだない空き地が目立つ。一部に広大なスクウォッティングエリア。レンガとトタンの平屋が地面の一部であるかのように地を這い拡がっていた。

バスターミナル@セクター17

高等裁判所(High Court of Punjab and Haryana)

(右)オープンハンドの広場

影の塔(Tower of Shadows)

立法議会棟(Vidhan Sabha)

行政庁舎(Civil Secretariat Punjab and Haryana)

ロックガーデン(Nek Chand's Rock Garden)

| MEMO 雑記・ブログ , PICTUREs 旅と建築 | 14.08.26

あじまの改修現場

あじまの改修現場にて。
補強用の基礎コンクリートが打ち終わり、天井に取り掛かる。解体時に丁寧に剥がした床のフローリングを、そのまま天井に再利用。カーペットや家具の跡が面白い表情になった。また、山中油店から取り寄せた亜麻仁油と柿渋で塗装のテスト。久しぶりの柿渋の香り。

Tags: | MEMO 雑記・ブログ | 14.07.01

あじまの改修計画:着工間近

昨年夏に実測を行い、研究室で設計案を検討してきた「あじまの家改修プロジェクト」。ついに1/30模型が出来上がってきました。
いよいよ来週、解体工事に着手です。

Tags: | MEMO 雑記・ブログ | 14.05.22

MEMO 雑記・ブログ  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 全てのページ

MENU

MEMO Archives

MEMO 雑記・ブログ

Tags


Movable Type 3.36

apstars

RSS

..