オープンハウス御礼
6日、T邸オープンハウスを無事終えることができました。おかげさまで、約80名+お子様10名にご来場いただき、なかなか熱い1日となりました。
皆様、お忙しい中、足を運んでいただき、本当にありがとうございました。
T邸は、日没後に照明をつけると雰囲気がガラリと変わります。オープンハウスは6時までだったので、これを見ていただけなかったのがちょっと残念です。
Tags: T邸 | MEMO 雑記・ブログ | 09.09.10 | (2)
6日、T邸オープンハウスを無事終えることができました。おかげさまで、約80名+お子様10名にご来場いただき、なかなか熱い1日となりました。
皆様、お忙しい中、足を運んでいただき、本当にありがとうございました。
T邸は、日没後に照明をつけると雰囲気がガラリと変わります。オープンハウスは6時までだったので、これを見ていただけなかったのがちょっと残念です。
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ヒショです。もう夏も終わりですね。
今年の夏のブームは炭酸水でした。私はガス入りの水が好きで、特に暑い時は毎日飲みたいのです。でも毎日買うのはもったいないとぼやいていたら、所長が(勤務時間をつかって)いろいろ作り方を調べてくれました。手作り炭酸水はわりと簡単で楽しいですよ。
以下、所長による渾身の炭酸水レシピです。
(長いので、単に炭酸水つくりたい人は⑧だけ見てください)
(2009/09/05)
※
ここに書いてあるのを元にやって何か問題が起こっても責任はとれません。発生した炭酸ガスが極端に多すぎたり、凍らせたりすると爆発することもあるそうです。試す場合は自己責任にてお願いします。ナトリウム(≒塩分)が含まれていることにも注意ください。
Tags: ヒショ 飲食 | MEMO 雑記・ブログ , SELECTED 選り抜き | 09.09.05 | (53)
2009/8/10〜16
8/11(火)
別件の中間検査。構造用合板の留め方などにやや難点あり、工務店に修正の指示。勝手な変更は大けがの元です。
8/12(水)〜18(火)
宮城大・竹内先生+宮城大有志(なんと二週間にわたり京都に滞在)、魚谷氏+京都建築専門学校有志、滋賀県大有志、柳沢(単独)によるハイブリッドチームで、京都地蔵調査を敢行。
お盆休みが完全に潰れ、大いに日焼けしたが、久々のフィールドワークで調査勘を思い出す。
調査対象エリアは、田の字地区(御池〜四条、河原町〜堀川に囲まれた範囲)を中心に、東は東大路、西は西大路、北は上京区境、南は京都駅、という広大なエリア。15年間京都にいて、いまだ入ったことのなかった路地の奥深くまで、隈無く徘徊し、地蔵や大日如来・蛇神・道祖伸などを探し出した。こんなことでもなきゃ、一生しない経験だねえ。
時おり出会う、暗く狭く切ない路地奥は、ヴァーラーナシーの路地を思い起こさせる。表通りと裏通り、街路と路地、地主と店子、日の当たる世界とそうでない世界……幾重もの分節と階層化の皺が路地の奥に圧縮されているような心持ちがする。都市としての歴史の深みってやつでしょうかね。
しかし地蔵は、なかなかに可愛らしい。この調査で120体(?)くらいのお地蔵さんに会った。一生分お会いしたような気もする。子宝・延命・安産・長寿その他御利益満載である。
お地蔵さんには、顔が描いてあるものがかなりある。毎年地区の子供たちがお化粧するらしく、描き手の個性が感じられるのが面白い。
8/16(日)
恒例の大文字バーベキューを屋上にて開催。
今年はお隣に引っ越してきた友人夫妻と共催で、地蔵調査メンバー(チーム地蔵)も参加。主役の送り火は点灯時にチラ見で、肉と酒と話に集中。ほどよく風も吹く気持ちのいい夜でした。
宮城大の学生二人が、近年マレに見る機敏な動きで肉を焼き、片付けをしてくれた。
素晴らしい。
Tags: 事務所 京都 | MEMO 雑記・ブログ | 09.09.02 | (0)
アフマダーバード郊外にある階段井戸に施された透かし彫りの装飾群。
ある程度定まった形式に従って、様々なパターンが(二つと同じものを繰り返さずに)展開されることで、全体と部分の美しさが同時に実現しており、そのあまりの密度に絶句する。
全体を統制するおおまかなルール(制約)とその中での個々の自由度という構図は、美しい都市や集落の構成(例えば京町家の連なる街並み)にも共通する特徴だが、単体の建築における「様式」にもたぶんこれと同じ効果がある。
「全体のルール」といってしまうと抑圧的なイメージがあるけど、個々の関係性が拡がることでできあがる秩序もある。昔は地域的な生活習慣や社会慣習、技術・材料の限定性が、自然にこういった大まかなルールを形作っていた、というのはよく言われることだけれども。
Tags: インド 装飾 | MEMO 雑記・ブログ , PICTUREs 旅と建築 | 09.08.28 | (0)
このたび、T邸が竣工を迎えるにあたり、施主様のご好意により内覧会を催すこととなりました。
■日時:2009年9月6日(日)10:00〜18:00
■場所:京都市上京区
個人住宅につき詳しい位置は公開いたしませんので、
ご興味のある方おられましたら、
一度こちらまでメールでご連絡ください。
Tags: T邸 | NEWs 最新情報 , MEMO 雑記・ブログ | 09.08.27 | (2)
7月中に仕上げなければいけない宿題が終わらぬまま8月に入り、あれよあれよで盆が明けてしまいました。ようやくちょっと一息ついたので8月前半のことを、またまた週単位で振り返ってみる。主に仕事以外のこと。
2009/8/3〜9
8/4(火)
福島の建築人・佐藤敏宏さん「ことば閲覧」にて事務所に来訪。インタビューをうける。金子国義のリトグラフにいきなり反応していた。70〜80年代のアンダーグラウンドな世界を体感してきた方のアンテナだと思う。
こちとらシャイなので素面では話はできませぬと、しょっぱなからビールを出して呑む。途中から佐藤さん酔っぱらったのかインタビュー形式崩壊。でもそのまま4時間くらい話して、さらにその後、近所の櫻バーに行って3時間程とりとめもなく。
佐藤さんのサイトにはすでに、インタビュー最初の一時間が公開されてます。
何だか盛んに「幸せだね〜」と言われたので、ちょっと恥ずかしいです。
8/6(木)
午前中T邸現場へ。
午後より大学の先輩でもある岩崎泰氏に案内してもらい、森田氏とともに奈良にある岩崎さんの設計した茶室へ。
既存の住宅の中庭に寸分の余地なくインストールされた、二帖敷きの真ん中が板張になってる(二帖中板というらしい)茶室。幅1尺強の板が入ってるだけなのに、主客の関係性や道具の置き方に取っ掛かりが生まれており、それが空間の広がりにつながる素晴らしい効果をだしている。お茶をいただきながら施主さん道具や床柱等への思いや設計・施工時のエピソードなど伺いつつ、あっと言う間に二時間。
とっつきにくいと思っていた茶室も、作り手・使い手の顔が見えてくると、途端に馴染みやすくなるものだと感じました。
遺跡のように人の痕跡が消えた時の魅力もあれば、人がいて初めて発揮される魅力も当然あるのであり、建築ってのは単純ではないなと。
8/7(金)
「佐藤さんワイワイ会」開催。
5時に共同企画の魚谷氏、川勝氏と集合して会場のセッティングや買い出しなど。7時半の会場と同時に乾杯して、ワイワイ開始。レクチャーは8時過ぎから何となく開始。
報告とぷち感想は神楽岡のジャーナルに載せてます。
8/8(土)
午前休憩。午後T邸にて庭師・水谷さんと施主氏とで、庭の算段。表には奥さんの希望でオリーブを、中庭にはヤマボウシかエゴノキか、シャラか?
8/9(日)
「荒壁を廻る家」に、定期点検という名目で、久々にお邪魔する。
改修してから数年は経っているのに住み手のご夫妻(と二匹の猫)が、非常に綺麗に住みこなしてくれていて、感激する。古色を塗った床板はい〜い塩梅に部分的に色がはげてきている。特に猫の爪痕がいい感じである。家は住む痕跡を刻まねばならない。メンテナンスフリーとか傷がつかない素材とか抗菌とか、あんまり楽しくないですよね。
荒壁も気持ち色が落ち着いてきたようだ。この荒壁の調湿効果がすばらしい、とのこと。加湿器無しではセキがでて寝られないお母様が泊まりに来たとき、この荒壁のおかげかまったく大丈夫だったそうな。
ただ、一緒に連れてったチビは、暗めの雰囲気が怖いのか、終始泣きべそ気味であった。おい。
左:玄関から 右:荒壁のひび割れの様子。
(居住部分はプライバシーに配慮して写真掲載は控えました)
前日が僕の誕生日だったので、さあ祝えとばかりにケーキを持参したのであるが、あちらもケーキを用意していてくださりまた感激。
ビールや焼酎(伊佐美!)をたらふく頂き楽しい数時間を過ごし、その上、おみやげに『へうげもの』全巻を借りてかえる。モーニングでずっと読んでるけど、まとめて読むのは初めて。「茶道」観を変えてくれるマンガ。『デカスロン』のノリ(「おぎゃあああ〜」とか)が茶道にそのまま展開されたので、連載当初たまげたのを覚えている。
「はにゃあ」とした感じが大金時様を直撃しますな。
Tags: 荒壁廻家 | MEMO 雑記・ブログ | 09.08.26 | (0)
いよいよ竣工真近です。今まで載せていなかった現場の様子です。
裏の駐車場からの姿。施主氏には「何だかガンダムっぽいね~」と言われました。
そうかな。色合い的にはアッガイ?、でも、どちらかというとボトムズ?
左:2階から奥庭を見た感じ 右:玄関から中を見た1階
道路側の土間の洗い出し施工中。仕上げに塩酸で洗っているところ。
土間の入り口に木製引き戸がつきました。うーん、でっかい。
夜の現場。2階キッチンのあたり。
左:外観のしめくくりに格子がつきました。モルタルかき落としの壁に負けないよう、ごっつい(50×100mm)格子です。
右:フローリングの仕上げに塗るオイルと蜜蝋の塗装テスト。濡れ色がいい感じ。
Tags: T邸 | MEMO 雑記・ブログ | 09.08.25 | (0)
五条大橋東詰をのぞむ。
ご無沙汰しております。究建築研究室ヒショです。
(室長の鼻息荒い記事におされ、なかなか更新できません。)
今年もやってまいりました!京都五条坂・陶器祭。
五条大橋東側の南北五条通沿いには、早くもお店が軒を連ねています。
じっくり見ていたら全部はまわりきれないほどの規模なので、時間に余裕を持って行くことをお勧めします。暑い暑い日中はわりと空いていますが、夜はえらい賑わい様です。作家さん個人のお店も多く、お話を聞きながら交渉しながらお買いものするのは、なかなか楽しいですよ。
京都五条坂・陶器祭 8/7(金)~10(月) 9:00-23:00
そうそう、今日は佐藤敏宏さんを囲んでの「ワイワイ会」の日。会場は河原町五条なので、あわせて足を運んでみられてはいかがでしょうか。
Tags: ヒショ 京都 | MEMO 雑記・ブログ | 09.08.07 | (0)
久しぶりにT邸現場の様子。
8/3(月)
ようやく道路側の足場がとれました(上の写真)。
アップの写真はまだ秘密なので、少し離れたところから。
なかなかしっとりと街並みに馴染んでおりますが、道路際に植栽が入ってくると、さらに溶け込むという狙いです。
夕方に現場の中で片付けをしていたら、通りから近所のおばちゃん(おばあちゃん?)達の会話が聞こえてきたので、つい耳をそばだててしまいました。
「ハイカラないい家を建てはったな〜」
お褒めいただきありがとうございます。ハイカラ、ですか。西洋風というわけではないけど、そういわれればそうかもしれません。
「でもハイカラなのに、瓦もしっかりのせて、壁はやさしい色にしはったな〜」
「古い家が多いところやさかい、気ぃ使わはったんかな〜」
ご理解いただき本望です。セットバックしていないのも実は大切なポイントです。覚えておいてくださいね。やさしい色なのは、きっと設計者の心が表れてるからでしょう。
「電柱は可哀想やな〜、しやけど、こればっかりはしようがないしな〜」
そうですね。敷地内の電柱には苦労させられました。でも元々は道路にあったのに、車が通りにくいからと、近所のみなさんが合意して敷地の中に移設したそうですね。この敷地が空き地の時に。まるで欠席さいばん… ほんとうに仕方がないですね。
「ええ家を建てはったな〜、うちなんか見られへんわ〜」
いえいえそんなことはありません。皆様の家があってこその街並みです。
「ほんに。テレビアンテナまで立って。」
「ほんまやな〜」
え、そこは反応するところなんですか?
柳沢は会話に参加していません。念のため。聞こえてきちゃったんです。
とりあえずは好意的に受けとめていただいてるようで、ホッとしました。
内部の様子
左官工事の様子
外壁(と一部内壁)の仕上げは「モルタル掻き落とし」。半乾きの表面を剣山のようなものでガリガリ擦ると骨材が落ちて、自然な風合いがでてくる。今回は久住氏と相談して色や骨材のサイズを調整をし、かなり土っぽい表情に仕上げています。
写真は塗り立てで荒々しい感じだけど、乾くとなんだかかわいい表情になってきます。
2階の和室は、壁から天井まで左官で塗り上げています。ここの仕上げは、正式名称忘れましたが、石膏を塗ってスポンジで荒らした表面を部分的に研ぎ出すというもの。
コスト抑えめの仕上げですが、スポンジで荒れた部分が柔らかさを、研ぎ出した部分が上品さを出すので、なかなかエレガントな表情です。
Tags: T邸 左官 | MEMO 雑記・ブログ | 09.08.04 | (0)
ここのところ7月末〆切の原稿のための資料読みに慌ただしい。
その間のいろいろ。
7/14(火)
祇園祭へ。今年はチビがいるので人混みを避けようと宵々々山へ。しかし平日にもかかわらず山鉾町はかなりの人出で思うように進めず。屏風祭もあまり見れなくて残念。来年はもう一日早めよう。Y上のいる岩戸山にいってビールと粽(ちまき)をもらいしばし雑談。チビが育ったらうちの町内入りませんか、という。最近は子供が少ないからかそんなのもありなんですね。
7/16(木)
T邸現場へ行ったら、宵山にもかかわらず、大工さんたち遅くまで頑張っておられた。暑いですね、蒸しますね。
帰りにふと見付けた「月と六ペンス」という喫茶店へ。古いアパートの一室にある。アイランド型の配置、棚、塗装、蔵書、手作り仕事と聞いたが、かなりイイ。グラスワインとコーヒーが同価格なので、当然ワインを頼む。禁煙なのが唯一残念だが、それでも行きたくなるお店ではあった。
その足で、満田さん事務所にお邪魔して、京都で独立して仕事をしている方と多くお会いする。山鉾をはじめて上から(マンションのベランダから)眺めた。
7/17(金)
魚谷氏、RAD川勝氏と一緒に、8/7の「佐藤敏宏さんワイワイ会」会場となるビルの下見に。最上階ゆえか10×12mの空間に柱がない。おまけに外には20坪程度のルーフテラスまであって、なかなかの気持ちよさである。
今回はこういう会だが、今後もギャラリーやイベントスペースとして積極的に活用してもよいのではないかと思う。場所も河原町五条だし悪くない。大家さんどうですか。
7/22(水)
久々のライブラリーワーク。T邸現場に顔を出した後、同志社大図書館へ。若干の資料コピー。その後、京大文学研究科図書室へ。日本でここを含めても3つくらいの図書館しか所蔵してないインドの論文誌を閲覧しに行った。
こういう研究的な仕事をするには、やはり京都はいい。資料の総量ではもちろん東京に負けるだろうが、質の高いスポットを自転車で回れるコンパクトさが格別である。
作業終了後、コーヒーでも飲みながら論文を読もうと思って、これまた久々の「進々堂」へ足を運ぶ。
いつも座る壁を背にした席につき、注文のお姉さんに「アイスコーヒーと灰皿を」と言ったら、全席禁煙なんです、との答え。外の席も。しばし絶句。まじですか。正気ですか。いつからそんなことに。しばし逡巡した後に、コーヒーは飲まずに店を出た。
いまさら書くまでもないけど、音楽が無く(重要)、机がでかく、本を並べて何時間いすわっても嫌な顔をされない、(コーヒーの味は普通だが)、いい店だったのになあ。タバコ嫌いな人にはもっといい店になったのだろうけどねえ。悲しいねえ。
その後、学士堂に行くが閉まっていた。定休日は確か日曜のハズ。まさか閉店したの??
Tags: 京都 | MEMO 雑記・ブログ | 09.07.24 | (0)
ひさかたぶりの神楽岡の企画、やります。
今回はRADさんと合同開催で、福島の建築家・佐藤敏宏さんを囲む、スライド会ともレクチャーとも飲み会ともつかぬ会、「ワイワイ会」です。
神楽岡+RAD合同企画:
佐藤敏宏ワイワイ会+プチレクチャー『建築とか』
佐藤敏宏さんは建築家なんですが、ホームページを見てもらうとわかる(わからない?)ように、きわめてユニークな建築活動=生活を展開されていて、今回はその一つ「ことば閲覧」のインタビューで京都に来られます。
柳沢もいちおうインタビュー対象に入っていて、本企画の主催の一人でもあるんですが、実は佐藤さんには未だお会いしたことがありません。どういう会になるのか予測できないところがありますが、きっと、いろんな意味で、面白いことになりそうです。
飲み物・食べ物は「持ち寄り制」です。
あと、会場もなかなか面白い場所です。
今回はいつもの神楽岡ではなく、五条河原町にあるオフィスビル最上階をまるまる貸し切ってやります。
| MEMO 雑記・ブログ | 09.07.18 | (0)
2009/7/10(金)
午前中に打合せを一件すませ、午後はうちの事務所ビルの大家さんと、8月に企画しているスライド会の会場について交渉(空きビルのワンフロアをまるまる借りようと画策しているのです)。その後、T邸現場監理。
晩から図師宣忠氏と合流し、焼き鳥をつまみんだあと、Loki Academicaの「呑みながら講義」第一回に参加。
講師は京大博物館の塩瀬隆之氏。「からくり人形からロボットに伝承された技術」というお題から、からくりの機構的な話かと想像していたが、中身は主にコミュニケーション論であって、それが抜群に面白かった。
時計をきっかけとする歯車技術の進歩から複雑な動きをする人形(オートマタ)が生まれ、さらに19世紀の産業革命による蒸気機関の発明により、人形に動力が組み込まれ自律的な動きをするという現在のロボットのイメージが形作られたという(「ロボット」ときいて思い浮かぶゴツゴツした金属的なイメージというのは、この時代の蒸気機関、たとえば蒸気機関車の造形に由来するんですね)。
その後20世紀日本では、アニメやマンガ(鉄腕アトム、鉄人28号からガンダム、エヴへ)を媒体として、人型ロボットのイメージが国民的に共有されつつどんどん膨らみ、かつ洗練されていく。その成果が、90年代後半の人型二足歩行ロボットプロトタイプとして花開いたと。
しかしメカニズム部分の進歩がある一方で、ロボットが備えるべきとされる一つのイメージ「人工知能」については、今のところ限界があると。
ロボットは、あくまでセンサーによる情報取得を行い、それを一定の条件下で処理・判断し、それに対応したアウトプットを行うことしかできない。ポイントとなるのは「一定の条件」の幅で、たとえばチェスのように、入出力の条件がルールによって非常に狭く限定された状況には対応できるが、たとえば、対戦相手が怒ってチェス盤をひっくり返したりすると、ロボットには対応できないというような話。
ロボットにはそのような限界がある。しかし、それにもかかわらずロボットは今や生活の隅々まで浸透している(ATM、カーナビ、飛行機自動運転システムとか)。
そこで課題としてあがってくるのが、ロボットといかにコミュニケーションをとるか、というテーマ。
印象的だったのは、コミュニケーションの隠喩として、よく「キャッチボール」があげられるけど、実は「ビーチバレー」と考えた方がよいという話。
キャッチボールの例えでは、ボールを相手に向けて投げ、それをちゃんと受け取ることが大切と理解される。もちろんボールが意図やメッセージである。
しかし実際のコミュニケーションでは、必ずしもボールは自分が構えているところに向かってはこない。ボールを返すにも、そもそも相手がどこに構えているかを見極めるのは非常に難しい。だから、まず大切なのは、飛んできたボールを拾うことであり、相手が拾える範囲で返すことだと。だからビーチバレー(バレーじゃないのは、バレーが相手のいないとこにボールを落とすことが目的なのに対し、ビーチバレーはラリーを楽しむとこに本質がある、ということでしょう)。
いまのロボットのレベルでは、キャッチボールもできず、「ピッチングマシン」に過ぎないとも。
ロボットとのコミュニケーションを考える上ででてきた発想らしいが、それが人間同士のコミュニケーションにも十分に示唆的なところがすばらしい比喩。
長くなるのでこのへんでやめますが、ほかにも「歯車=コミュニケーション→摩擦が大事」の例えや、「悪いのは地球の重力に魂を引かれた人間達だろっ」というカミーユの台詞を交えながら、一時間強、卓越した話術とプレゼンテーション力による笑いの絶えないレクチャーでした。いやー、世の中には面白く賢い人がいるものです。
会場は20人でいっぱいでしたが、もったいないというか、贅沢というか。
レクチャー終了後も、図師と二人で塩瀬さんを囲み、今日の話題以外の研究テーマのことなど、2時くらいまで延々話をきかせてもらいました。
塩瀬さんに、「もともと機械工学出身ということだけど、何故こういうコミュニケーション論に展開してきたのか?」という質問をすると、「機械は人間が使うものだから、結局、人間とどういう関係をもてるかが一番大事」という(主旨の)答え。
昨今の建築界の議論を思い浮かべ、うーむと唸り腕組むことしきり。心地よいショックをたくさんもらった一晩でした。
Tags: 訪問 | MEMO 雑記・ブログ | 09.07.16 | (0)
2009/7/6〜12
久しぶりにT邸現場の様子。
左:外壁の左官下地ができあがってきた。来週中には上塗りに。
右:中には造作家具が一部設置されつつあり。キッチンとおかめ。
左:フローリングが張り終わった玄関。鉄板の階段がキレーにフローリングにささっています。写真右は棟梁。非常に丁寧な仕事をしてくれます。
右:夕方の感じ。照明は暗めの白熱灯がいい。
Tags: T邸 | MEMO 雑記・ブログ | 09.07.13 | (0)
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