究建築研究室 Q-Labo.
究建築研究室 Q-Archi. Labo.|京都の建築設計事務所

2009年08月: 究建築研究室 Q-Labo.|https://q-labo.info/2009/08/
Copyright © 柳沢究 Kiwamu YANAGISAWA, 2008-2024

透かし彫刻:アフマダーバード Ahmadabad, India, 1996

透かし彫刻:アフマダーバード Ahmadabad, India, 1996

アフマダーバード郊外にある階段井戸に施された透かし彫りの装飾群。
ある程度定まった形式に従って、様々なパターンが(二つと同じものを繰り返さずに)展開されることで、全体と部分の美しさが同時に実現しており、そのあまりの密度に絶句する。

全体を統制するおおまかなルール(制約)とその中での個々の自由度という構図は、美しい都市や集落の構成(例えば京町家の連なる街並み)にも共通する特徴だが、単体の建築における「様式」にもたぶんこれと同じ効果がある。
「全体のルール」といってしまうと抑圧的なイメージがあるけど、個々の関係性が拡がることでできあがる秩序もある。昔は地域的な生活習慣や社会慣習、技術・材料の限定性が、自然にこういった大まかなルールを形作っていた、というのはよく言われることだけれども。


Tags: | MEMO 雑記・ブログ , PICTUREs 旅と建築 | 09.08.28 | (0)

T邸オープンハウス

このたび、T邸が竣工を迎えるにあたり、施主様のご好意により内覧会を催すこととなりました。

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■日時:2009年9月6日(日)10:00〜18:00
■場所:京都市上京区

個人住宅につき詳しい位置は公開いたしませんので、
ご興味のある方おられましたら、
一度こちらまでメールでご連絡ください。

Tags: | NEWs 最新情報 , MEMO 雑記・ブログ | 09.08.27 | (2)

佐藤さん来襲・荒壁訪問

8/7 佐藤さんワイワイ会の様子

7月中に仕上げなければいけない宿題が終わらぬまま8月に入り、あれよあれよで盆が明けてしまいました。ようやくちょっと一息ついたので8月前半のことを、またまた週単位で振り返ってみる。主に仕事以外のこと。

2009/8/3〜9

8/4(火)
福島の建築人・佐藤敏宏さん「ことば閲覧」にて事務所に来訪。インタビューをうける。金子国義のリトグラフにいきなり反応していた。70〜80年代のアンダーグラウンドな世界を体感してきた方のアンテナだと思う。
こちとらシャイなので素面では話はできませぬと、しょっぱなからビールを出して呑む。途中から佐藤さん酔っぱらったのかインタビュー形式崩壊。でもそのまま4時間くらい話して、さらにその後、近所の櫻バーに行って3時間程とりとめもなく。
佐藤さんのサイトにはすでに、インタビュー最初の一時間が公開されてます
何だか盛んに「幸せだね〜」と言われたので、ちょっと恥ずかしいです。


8/6(木)
午前中T邸現場へ。
午後より大学の先輩でもある岩崎泰氏に案内してもらい、森田氏とともに奈良にある岩崎さんの設計した茶室へ。

既存の住宅の中庭に寸分の余地なくインストールされた、二帖敷きの真ん中が板張になってる(二帖中板というらしい)茶室。幅1尺強の板が入ってるだけなのに、主客の関係性や道具の置き方に取っ掛かりが生まれており、それが空間の広がりにつながる素晴らしい効果をだしている。お茶をいただきながら施主さん道具や床柱等への思いや設計・施工時のエピソードなど伺いつつ、あっと言う間に二時間。
とっつきにくいと思っていた茶室も、作り手・使い手の顔が見えてくると、途端に馴染みやすくなるものだと感じました。
遺跡のように人の痕跡が消えた時の魅力もあれば、人がいて初めて発揮される魅力も当然あるのであり、建築ってのは単純ではないなと。


8/7(金)
「佐藤さんワイワイ会」開催。
5時に共同企画の魚谷氏、川勝氏と集合して会場のセッティングや買い出しなど。7時半の会場と同時に乾杯して、ワイワイ開始。レクチャーは8時過ぎから何となく開始。
報告とぷち感想は神楽岡のジャーナルに載せてます。


8/8(土)
午前休憩。午後T邸にて庭師・水谷さんと施主氏とで、庭の算段。表には奥さんの希望でオリーブを、中庭にはヤマボウシかエゴノキか、シャラか?


8/9(日)
荒壁を廻る家」に、定期点検という名目で、久々にお邪魔する。
改修してから数年は経っているのに住み手のご夫妻(と二匹の猫)が、非常に綺麗に住みこなしてくれていて、感激する。古色を塗った床板はい〜い塩梅に部分的に色がはげてきている。特に猫の爪痕がいい感じである。家は住む痕跡を刻まねばならない。メンテナンスフリーとか傷がつかない素材とか抗菌とか、あんまり楽しくないですよね。
荒壁も気持ち色が落ち着いてきたようだ。この荒壁の調湿効果がすばらしい、とのこと。加湿器無しではセキがでて寝られないお母様が泊まりに来たとき、この荒壁のおかげかまったく大丈夫だったそうな。
ただ、一緒に連れてったチビは、暗めの雰囲気が怖いのか、終始泣きべそ気味であった。おい。


左:玄関から 右:荒壁のひび割れの様子。
(居住部分はプライバシーに配慮して写真掲載は控えました)

前日が僕の誕生日だったので、さあ祝えとばかりにケーキを持参したのであるが、あちらもケーキを用意していてくださりまた感激。
ビールや焼酎(伊佐美!)をたらふく頂き楽しい数時間を過ごし、その上、おみやげに『へうげもの』全巻を借りてかえる。モーニングでずっと読んでるけど、まとめて読むのは初めて。「茶道」観を変えてくれるマンガ。『デカスロン』のノリ(「おぎゃあああ〜」とか)が茶道にそのまま展開されたので、連載当初たまげたのを覚えている。
「はにゃあ」とした感じが大金時様を直撃しますな。

Tags: | MEMO 雑記・ブログ | 09.08.26 | (0)

T邸ちゃくちゃく4

いよいよ竣工真近です。今まで載せていなかった現場の様子です。

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裏の駐車場からの姿。施主氏には「何だかガンダムっぽいね~」と言われました。
そうかな。色合い的にはアッガイ?、でも、どちらかというとボトムズ

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左:2階から奥庭を見た感じ 右:玄関から中を見た1階

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道路側の土間の洗い出し施工中。仕上げに塩酸で洗っているところ。

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土間の入り口に木製引き戸がつきました。うーん、でっかい。

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夜の現場。2階キッチンのあたり。

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左:外観のしめくくりに格子がつきました。モルタルかき落としの壁に負けないよう、ごっつい(50×100mm)格子です。
右:フローリングの仕上げに塗るオイルと蜜蝋の塗装テスト。濡れ色がいい感じ。


Tags: | MEMO 雑記・ブログ | 09.08.25 | (0)

京都五条坂 陶器祭

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五条大橋東詰をのぞむ。

ご無沙汰しております。究建築研究室ヒショです。
(室長の鼻息荒い記事におされ、なかなか更新できません。)

今年もやってまいりました!京都五条坂・陶器祭
五条大橋東側の南北五条通沿いには、早くもお店が軒を連ねています。
じっくり見ていたら全部はまわりきれないほどの規模なので、時間に余裕を持って行くことをお勧めします。暑い暑い日中はわりと空いていますが、夜はえらい賑わい様です。作家さん個人のお店も多く、お話を聞きながら交渉しながらお買いものするのは、なかなか楽しいですよ。

京都五条坂・陶器祭 8/7(金)~10(月) 9:00-23:00

そうそう、今日は佐藤敏宏さんを囲んでの「ワイワイ会」の日。会場は河原町五条なので、あわせて足を運んでみられてはいかがでしょうか。

Tags: | MEMO 雑記・ブログ | 09.08.07 | (0)

T邸ちゃくちゃく3

通りより。

久しぶりにT邸現場の様子。

8/3(月)
ようやく道路側の足場がとれました(上の写真)。
アップの写真はまだ秘密なので、少し離れたところから。
なかなかしっとりと街並みに馴染んでおりますが、道路際に植栽が入ってくると、さらに溶け込むという狙いです。
夕方に現場の中で片付けをしていたら、通りから近所のおばちゃん(おばあちゃん?)達の会話が聞こえてきたので、つい耳をそばだててしまいました。


「ハイカラないい家を建てはったな〜」
お褒めいただきありがとうございます。ハイカラ、ですか。西洋風というわけではないけど、そういわれればそうかもしれません。
「でもハイカラなのに、瓦もしっかりのせて、壁はやさしい色にしはったな〜」
「古い家が多いところやさかい、気ぃ使わはったんかな〜」

ご理解いただき本望です。セットバックしていないのも実は大切なポイントです。覚えておいてくださいね。やさしい色なのは、きっと設計者の心が表れてるからでしょう。
「電柱は可哀想やな〜、しやけど、こればっかりはしようがないしな〜」
そうですね。敷地内の電柱には苦労させられました。でも元々は道路にあったのに、車が通りにくいからと、近所のみなさんが合意して敷地の中に移設したそうですね。この敷地が空き地の時に。まるで欠席さいばん… ほんとうに仕方がないですね。
「ええ家を建てはったな〜、うちなんか見られへんわ〜」
いえいえそんなことはありません。皆様の家があってこその街並みです。
「ほんに。テレビアンテナまで立って。」
「ほんまやな〜」

え、そこは反応するところなんですか?

柳沢は会話に参加していません。念のため。聞こえてきちゃったんです。
とりあえずは好意的に受けとめていただいてるようで、ホッとしました。


内部の様子


左:キッチンのあたり、右:風呂


左官工事の様子

外壁(と一部内壁)の仕上げは「モルタル掻き落とし」。半乾きの表面を剣山のようなものでガリガリ擦ると骨材が落ちて、自然な風合いがでてくる。今回は久住氏と相談して色や骨材のサイズを調整をし、かなり土っぽい表情に仕上げています。
写真は塗り立てで荒々しい感じだけど、乾くとなんだかかわいい表情になってきます。

2階の和室は、壁から天井まで左官で塗り上げています。ここの仕上げは、正式名称忘れましたが、石膏を塗ってスポンジで荒らした表面を部分的に研ぎ出すというもの。
コスト抑えめの仕上げですが、スポンジで荒れた部分が柔らかさを、研ぎ出した部分が上品さを出すので、なかなかエレガントな表情です。

Tags: | MEMO 雑記・ブログ | 09.08.04 | (0)