2009年03月: 究建築研究室 Q-Labo.|https://q-labo.info/2009/03/
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2009/3/9〜3/15
3/10(火)〜13(金):
先週の打合せをうけて、最終の図面修正作業。今回は見積もり調整に丸3ヶ月、毎週のように細かな変更を繰り返しながら9回も見積もりをやり直したので、その間の変更を図面に反映させるだけで結構たいへん。
あわせて確認申請用の書類を仕上げていく。
3/14(土):
事務所にて施主×工務店の工事契約が滞りなく結ばれる。結局、契約書に添付することになった図面は約80枚。
建売住宅なんかは総図面枚数が10枚に満たない(!)こともある、とかいう噂は聞くけれど、注文住宅としてこの枚数が多いのかどうかは、よくわからない。自身の感触としては、ちょっと細かいところまで書きすぎた(もっと工務店や大工さんの判断にまかせる余地を残してもよかった)かな?という気もするし、設計の密度としてはまだまだ足りん、という気もする。どちらにせよ、実際にモノを作れない設計者の武器は第一に図面であるから、とりあえず込められるだけの思いは込めて書くことにしている。
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| 09.03.24
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「薔薇の名前」からの連想。中世の空気を今も色濃く漂わす修道院が集まっている、ギリシャはアトス山 Mt. Athosの風景
2009/3/9〜3/15
3/9(月):
「ヴァーラーナシーVaranasiカナ表記」論を、とあるところに投稿するために、考察などに若干手を加えて文章の体裁を整える。論文と呼べるようなシロモノでは無いけれど、学位論文以降そっち方面の思考回路を全然使ってないから、テーマをたててデータをとって分析を加えて人に伝わる文章にまとめる、という研究活動の基礎トレーニングのようなつもりでやってたら、意外に楽しかった。
晩、友人夫妻宅にて神楽岡でもスライド会をやってもらった西洋史家(「恐竜ハカセ」というと怒られる)図師宣忠氏を交えて鍋会。図師氏の現在の研究対象が、最近読んだ(観た)「薔薇の名前」に登場する異端審問官ベルナール・ギーの著作だということを聞いて驚く。ギーは小説(特に映画)では完全な悪役だが、実際にはかなり公正な裁判を行っていたという記録が残っているとかそんな話をしながら、久々に気を失うまで呑んだ。
以下は、「中世」「修道院」から連想されたギリシャのアトス山について。
アトス山 Mt. Athosの玄関口となる船着き場の風景。黒服は修道僧たち(1996年)。
アトス山はアテネで特別許可をもらって、5日間だけ入ることが許されるギリシャ正教の聖地(女人禁制)。山へは船のみでアクセス可能で、アトス山内には自動車がない(電気が通ってるかさえ怪しい)。徒歩で山道を移動し修道院に泊めてもらう。夜はロウソクの火のみ。夜明け前に起きて聖堂での祈りに参加。本当に数百年前の世界に旅するかのような貴重な体験でした。
アトス山については、また詳しく書くかもしれません。 >> 書きました
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| 09.03.23
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フランク・ロイド・ライトの自由学園明日館の窓と天井。2008年、友人の結婚式の際に撮影。これだけ部分的な写真にもかかわらずライトと認識できてしまうとは。
2009/3/7(土):
事務所にて施主・工務店同席によるT邸打合せ。この間の調整や構造検討の説明・協議を行い、施主に理解してもらった上で契約に向けた具体的な話を進める。
午後、休日ということにして散歩がてら図書館やコーヒー豆の買い物へ。
晩、映画「ガタカ」を見る。
遺伝子工学的優生学至上社会における人間の葛藤をテーマとした「ガタカ」は、映画としても非常に面白かったけど、舞台に使われてるレトロ・フューチャーな建築に、僕らのような人間はまず目が行くはずだ。フランク・ロイド・ライトの建築(マリン郡庁舎 Marin County Civic Center。リンク先では珍しい工事中の写真が見れます。複層に連なるアーチ窓はローマ時代の水道橋がモチーフと見た)が主舞台で、主人公の住まい(外観)は鉄人建築家アントワーヌ・プレドック Antoine Predockの作品。どちらも近未来SF映画の背景として、ハマリすぎくらいにハマっててかっちょえぇ。
今回、あらためて手元にあるライトの作品集や自由学園の写真(冒頭のやつ)を見ていて、未来的イメージと伝統的雰囲気(木や石の素材感とか柱梁の見せ方とか)が同居している不思議さが、ライトのデザインが広く受け容れられる理由の一つなのではないかと感じた。
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| 09.03.20
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雛祭りということで。今回生まれて初めて、ひな人形をじっくりと観察した。着物の柄がモダンなことと作りが精密なことに感心する。西陣織の正絹袋帯だそうな。
2009/3/2〜3/6
3/2(月):
午前中にモンド氏を交えて工務店と構造関係の詳細打合せ。屋根・床・壁を強化することにより火打ちを追加しない方向で話がまとまり、やや安堵。
五条河原町に引っ越してきて以来、ほとんど乗ってなかったバイク(SRV250)をついに処分する。バイク王に買い取りを頼んだら、逆に5千円払うことに。まあ仕方ないというほど傷んでいたのだが。印象的だったのはバイク王の対応の早さ。携帯で撮った写真を査定センターとやらに送り、1時間ほどで査定金額を提示、こちらが了承すると、その場でバイクを持って行った。よくできたシステムである。
3/3(火):
図面修正と確認申請用の書類づくり。
合間に、チビの初節句ということで、着物を着せて、祖父母から送られた雛人形と記念写真をとったりなんだり。
3/4(水):
引き続き事務所にこもって作業。
3/5(木):
役所まわり。景観課に行ってT邸の修正相談や別件の風致関係、某民間確認検査機関での事前相談提出。その後、鈴木健太郎氏の現場を二つほど覗かせてもらう。一つは数寄屋建築でもう一つはSE構法による住宅。
家に帰ると仕事用の椅子のキャスターが崩壊。交換用のキャスター部品をネットで注文し、ついでに来客用にヤコブセンのアントチェア(4本脚)も購入。意匠版権が切れているため、格安でいろんな色のものが購入できるようになっていてありがたい。ちょっと変わったのをと思い、白い革張りのやつを選ぶ。ほんとはオリジナルが欲しかったところだけど、工業製品の肝は安価な大量生産にあるはずだ、などと言ってみる。
3/6(金)
たまってたメールの返信や書類整理。翌日の打合せ準備など。
合間に工務店と電話で打合せ。壁量計算書や軸組金物のN値計算表などをエクセルでチマチマつくる。設計に占めるこうした地味な仕事の量は、意外なほどに多い。
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| 09.03.19
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1996年インド、ラージャスターン州のジャイサルメールJaisalmerにて。夕暮れ時、町外れの遺跡にいた楽士のおじさん。絵になりすぎやで。
2009/2/23〜3/1
2/28(土):
インド・ラージャスターンの民族音楽の催しを見に万博公園の国立民族学博物館へ。共同研究員をやってる関係で、三尾稔先生より招待券をいただいたのだ。同行は久住鴻輔・水谷馨・モンド各氏。同日、京大でやっていた青木淳講演とどちらに行くか迷ったが、聞く機会が少ないのは間違いなくこっちだろう、ということでこっちへ来た。
ラージャスターン・ルーツ Rajasthan Rootsという民族音楽集団が奏でる曲は、シタールやタブラがメインのホワワーンという古典インド音楽と違って、かなりアップテンポの激しい曲が多い。日本で例えれば、雅楽に対する津軽三味線というところかな? 中東圏のコーラムの詠唱やフラメンコにも通じるような感じがあり、西インドはやはりペルシャ・ヨーロッパへ通じてるのだな、とか、伝説的なジプシー音楽とはこういうものだったのだろうかなどと他愛のない想像をめぐらせつつ楽しむ。
ただし、スピーカーの音がでかすぎたのはしんどかった。あと、こういう舞踊や演奏を客席からステージ上に見るのは、仕方がないとはいえ、残念無念。鴨川の河原とまではいかなくてもね、どこか屋外で夜に火を焚いて車座で囲んで…、無理かなぁ。
晩は久住・水谷両氏と久々に先斗町・木屋町界隈で飲み歩く。
口琴の不思議な音色を久々に聴いたので、家に帰ってから昔買ったウズベキスタンの口琴を引っ張り出してビヨンビヨン鳴らしてみた。
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| 09.03.19
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だいぶ遅れてしまったけど、頑張って追いつこうとしてみる。
2009/2/23〜3/1
2/23(月):
工務店の方と一緒にT邸敷地にて、地盤・基礎レベル関係の調査・打合せ。
当初参照していた図面の数値よりも、若干敷地の奥が高くなっていることや、隣家の基礎がはみ出していることなどを確認して、基礎レベルの高さちょっと修正することに。
一方クライアント側からは、メンテナンス用に床下に人が入れるようしたいという要望も上がってきたので、確認申請に出す前に高さ関係の最終調整を行う。
T邸はほぼセットバック無しなもんだから、道路斜線をめぐる涙ぐましい寸法調整が発生…。そりゃみんなセットバックして、前に駐車場つくるわな。
2/24(火):
市役所と某民間確認検査機関に行って、確認申請をめぐる相談やら確認やらあれこれ。
検査機関で袖壁が出てる分は建築面積に入れないといけないと言われて、そんな馬鹿なと役所に確認に行ったら、実はあそこをこうしたら建築面積に入れなくてもいいと聞いて、それを検査機関に持ち帰ったら、そうですよと言われて、だったら始めからそう言ってくれと言うと、うちはコンサルではないのでそういうアドバイスはできないんですよエヘヘ、何だこのやろう、という何とも非建設的なやりとりを交わして疲弊する。
2/25(水):
高さ関係の再調整で矩計を書き直す。その合間に研究費関連の事務処理を行いつつ、ひさびさに大龍堂に顔を出す。
大龍堂のメーリングリストは、建築関係では間違いなく近畿圏随一の情報量と発信力を有している。イベントや新刊の案内を随時発信してくれてとても有り難い。読者も今や数千人くらいいる。でも、大龍堂さんへの注文は伸びていないらしい。理由ははっきりしている。情報だけもらってアマゾン等で買う人が多いのだ。
僕も普段アマゾンを重宝してるので偉そうなことは言えないけれど、建築の本だけはなるべく大龍堂まで出向いて買うことにしている。だって、もしもの話だけれど、大龍堂が潰れるようなことがあったら、それは京都の建築人の恥に他ならないよ。
2/26(木):
朝から工務店と構造関係の詳細打合せ。
吹抜部分に梁や火打ちを入れたいと言われて、いまさらそんな、と頭を悩ます。
夜「薔薇の名前」ようやく読了。映画「欲望という名の電車」を観る。全体的に気分が下向きになりがちなラインナップ。
2/27(金):
図面をしこしこ修正。
昼、門藤芳樹氏と松原通のコリスにて昼食とりながら構造関係について相談にのってもらう。コリスのランチはなかなかボリューミー。今回は打合せ中ということで飲めなかったが、次回はワインも飲みたい。モンド事務所に寄った後は、近所に引っ越してきたCAFE OPALに。完全に面の表現(塗装とクロス)だけで勝負した町家リノベーションが、新鮮ではあった。結構落ち着ける店でいいかも。
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京都
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| 09.03.18
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西日射すアンコール・ワットの回廊にて。
無限連鎖する開口枠と、緑の中へ飛び込むかのようなその突き当たり(下図)。
回廊の中を歩いているのは、1996年、中国の昆明で出会ったK田氏(当時無職放浪中、現在大阪在住二児の父)。彼にはカンボジアの後、タイとトルコでも再会した。トルコでの再会後に別れる際には、彼が中国で買ったというコバルトブルー色のギター(笑)を譲り受け、その後の約半年間、僕はそれを抱えて旅をしていた。今思えばそんなかさばるものをよく持ち歩いてたもんだ…
光と影、石と緑、壁と窓、その脇に佇む子供たち…
建築の一番の魅力って、やっぱりこういうところである。
こんな家をつくりたいなと、本気で思う。
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| 09.03.17
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