究建築研究室 Q-Labo.
究建築研究室 Q-Archi. Labo.|京都の建築設計事務所

ARTICLEs 小論 : 究建築研究室 Q-Labo.|https://q-labo.info/article/
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地域性の増幅装置としての建築家

『住宅建築』誌の、アンダー40の地域で活躍する建築家特集に、地域性について最近考えていたことを整理し寄稿したものです。ちょっと抽象的な話に終始してしまったのは反省ですが、建築家が地域の個性を育てるとはどういうことなのか、自己参照や再帰構造による特性の増幅、という現象を適用して考えてみました。地域の個性を醸成する一つの方法は、ある程度限られた地理範囲の中での相互参照による、特性の発見とその特性を補強する(そしてある程度抑制的な)介入行為の蓄積ではないかと思っています。

建築資料研究社『住宅建築』2018年12月号 掲載(2018年)


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| ARTICLEs 小論 | 19.12.11

古色とエイジング

一般財団法人・建築保全センターが発行する機関誌『Re』の、「アンチエイジング」という特集へ寄稿したものです。2004年に『コンフォルト』で書かせてもらった「古色:『古材色の再現』から『新しい表現』へ」以来の、12年ぶりの古色に関するテキストです。執筆にあたって久しぶりに先行研究を探し直しましたが、その後あまり研究は増えていない様子…。今回は、木材の表情の経年変化の実態をおさえた上で、古色の概念整理をしました。

一般財団法人建築保全センター『Re』No.189 掲載(2016年1月)【PDF】


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| ARTICLEs 小論 | 16.04.14

建築・都市空間における時間の蓄積

NPO法人西山夘三記念すまい・まちづくり文庫(西山文庫)が発行するニュースレターの中の「マイスタディ 若手研究者は いま」というコーナーへ寄稿したものです。現在の設計・研究のテーマについての自己紹介的な内容です。他の文章と重複する部分もありますが、「建築や都市空間における時間の蓄積」の意義として、①空間の意味の豊かさ、②重奏性(重層性)の創出、③地域性の土壌、という3点に整理し記述できた点が、自分としてはよかったと思っています。

『NPO法人西山夘三記念すまい・まちづくり文庫レター』No.66、2015年夏号「マイスタディ若手研究者はいま」掲載(2015年)


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| ARTICLEs 小論 | 15.12.20

インドの都市から考える6:街と融け合う寺院

日本建築家協会(JIA)東海支部の発行する機関紙『ARCHITECT』に、2012年12月より2013年10月まで隔月連載されたものです。


連載:インドの都市から考える(柳沢究)
第1回:巡還と囲繞の都市構造
第2回:ヒンドゥー教における住まいの象徴性
第3回:伝統的な中庭式住居での生活
第4回:水辺の建築空間 ガート
第5回:動物のいる都市空間
第6回:街と融け合う寺院

第6回:街と融け合う寺院

(『ARCHITECT』2013年10月号、日本建築家協会東海支部)


 20世紀末に始まるインド全体の経済成長にともない、近年ヴァーラーナシーでも大規模な宅地開発やショッピングモールの建設などが目立つようになった。都市空間の更新はその速度と激しさを増している。連載最終回となる今回は、聖地としてのヴァーラーナシーを支えるガートとならぶもう一方の立役者、ヒンドゥー教の寺院・祠に焦点をあてながら、筆者が現在関心を寄せている都市空間の現代的変化について触れてみたい。

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Tags: | ARTICLEs 小論 | 13.12.16

インドの都市から考える5:動物のいる都市空間

日本建築家協会(JIA)東海支部の発行する機関紙『ARCHITECT』に、2012年12月より2013年10月まで隔月連載されたものです。


連載:インドの都市から考える(柳沢究)
第1回:巡還と囲繞の都市構造
第2回:ヒンドゥー教における住まいの象徴性
第3回:伝統的な中庭式住居での生活
第4回:水辺の建築空間 ガート
第5回:動物のいる都市空間
第6回:街と融け合う寺院

第5回:動物のいる都市空間

(『ARCHITECT』2013年8月号、日本建築家協会東海支部)


■インドの都市には動物がいる

 小鳥や人に連れられたペットを除けば、日本の都市部において動物を見かける機会はきわめて少なくなった。そんな日本からインドを訪れて驚くことの一つは、都市に動物があふれていることである。実にさまざまな動物たちが人間と生活・空間を共にしている。

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Tags: | ARTICLEs 小論 | 13.12.09

インドの都市から考える4:水辺の建築空間 ガート

日本建築家協会(JIA)東海支部の発行する機関紙『ARCHITECT』に、2012年12月より2013年10月まで隔月連載されたものです。


連載:インドの都市から考える(柳沢究)
第1回:巡還と囲繞の都市構造
第2回:ヒンドゥー教における住まいの象徴性
第3回:伝統的な中庭式住居での生活
第4回:水辺の建築空間 ガート
第5回:動物のいる都市空間
第6回:街と融け合う寺院

第4回:水辺の建築空間 ガート

(『ARCHITECT』2013年6月号、日本建築家協会東海支部)


■インドでは水辺が建築化される

 インドの各地を旅して気がつくのは、川や池といった水域の周辺がしばしば広範囲にわたって階段状に整備されていることだ。そのような水辺に設けられた階段状の施設を総称して「ガート(Ghat)」と呼ぶ(写真1)。水辺を階段状に整備するのは、水位の変動にかかわらず水面へのアプローチを可能とするためであろう。護岸や船着場、水辺の作業場としての機能もある。もとより水辺はインドに限らずとも生活にとって欠かせない場所であり、類似した水辺の階段状施設は世界各地に見ることができる。日本では、瀬戸内海地方を中心に「雁木」と呼ばれる同様の施設が見られる(特に鞆の浦の雁木はガートとよく似ている)。

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| ARTICLEs 小論 | 13.12.02

インドの都市から考える3:伝統的な中庭式住居での生活

日本建築家協会(JIA)東海支部の発行する機関紙『ARCHITECT』に、2012年12月より2013年10月まで隔月連載されたものです。


連載:インドの都市から考える(柳沢究)
第1回:巡還と囲繞の都市構造
第2回:ヒンドゥー教における住まいの象徴性
第3回:伝統的な中庭式住居での生活
第4回:水辺の建築空間 ガート
第5回:動物のいる都市空間
第6回:街と融け合う寺院

第3回:伝統的な中庭式住居での生活

(『ARCHITECT』2013年4月号、日本建築家協会東海支部)


■インドの中庭式住居

 インドの住居は地方によってさまざまであるが、地域や民族・文化の違いを超えた一定の共通性が見られる。それは中庭を中心とした住居形式である。
 中庭式住居はモエンジョ・ダーロ遺跡からも数多く発掘されており、その歴史はインド文明とともに古い。

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Tags: | ARTICLEs 小論 | 13.11.25

インドの都市から考える2:ヒンドゥー教における住まいの象徴性

日本建築家協会(JIA)東海支部の発行する機関紙『ARCHITECT』に、2012年12月より2013年10月まで隔月連載されたものです。


連載:インドの都市から考える(柳沢究)
第1回:巡還と囲繞の都市構造
第2回:ヒンドゥー教における住まいの象徴性
第3回:伝統的な中庭式住居での生活
第4回:水辺の建築空間 ガート
第5回:動物のいる都市空間
第6回:街と融け合う寺院

第2回:ヒンドゥー教における住まいの象徴性

(『ARCHITECT』2013年2月号、日本建築家協会東海支部)

 前回、ヒンドゥー教には「浄/不浄観」に基づく階層的秩序を指向する傾向があり、世界の姿もまたメール山を頂点とする階層的な同心円構造によってとらえられること、そしてそのコスモロジーが都市に投影されている事例を紹介した。今回はそのようなヒンドゥー教の観念と住居のかかわりについて見てみたい。
 

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Tags: | ARTICLEs 小論 | 13.11.19

インドの都市から考える1:巡還と囲繞の都市構造

日本建築家協会(JIA)東海支部の発行する機関紙『ARCHITECT』に、2012年12月より2013年10月まで隔月連載されたものです。


連載:インドの都市から考える(柳沢究)
第1回:巡還と囲繞の都市構造
第2回:ヒンドゥー教における住まいの象徴性
第3回:伝統的な中庭式住居での生活
第4回:水辺の建築空間 ガート
第5回:動物のいる都市空間
第6回:街と融け合う寺院

第1回:巡還と囲繞の都市構造

(『ARCHITECT』2012年12月号、日本建築家協会東海支部)

 今年(2012年)4月より名古屋に移り住み、この連載を担当させていただくことになった。筆者は建築計画・設計を専門とするが、10年以上にわたってインドに通い都市空間の調査を続けている。学生時代のアジア放浪旅行の最中にふと立ち寄った、ヴァーラナシーという都市の成り立ちに素朴な関心を抱いたのが出発点であった。以来現在に至るまで、その都市の発する不思議な魅力に導かれながら、南インドまで手を広げつつ研究を続けてきた。根っこにあるのは、複雑な都市や建築の形がどのような要因と過程を経て形成されてきたか、という興味である。研究の着地点はいまだ模糊としているが、インドの都市を見つめる中で、都市や建築を考える上でのさまざまな示唆を得てきた。この連載でその一端を紹介できればと思う。まずは筆者がフィールドとしている2つの都市、その概要とヒンドゥー教のコスモロジーと結びついた都市構造について紹介したい。
 

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Tags: | ARTICLEs 小論 | 13.11.08

京都絶対領域

京都府建築士会の発行する雑誌『京都だより』に2011年7月より隔月連載中の記事です。各項目をクリックするとPDFが表示されます。

【京都絶対領域】

『京都らしい』建築を分かり易く構成する要素、庇・格子・坪庭などなど…。
これらの要素を建築に採用することで、安易に「京都らしさ」を獲得した気になってはいないだろうか。あるいは逆に必要以上に忌避してはいないだろうか。
そもそも格子とは何であろうか? 京都の庇とはいかにあるべきか? 
京都だから…条例にあるから…という思考停止に陥る前に、これらの要素の意味と可能性を一つずつ、有名無名問わず具体的な建築を参照しながら、あらためて検討してみたい。

(構成・執筆:柳沢究・魚谷繁礼・池井健)

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Tags: | ARTICLEs 小論 | 12.09.07

木材に塗る油について

フローリングや柱の手入れに使う油、ベンガラや松煙を混ぜて木材に塗装する時に使う油についての簡単な解説です。亜麻仁油、荏油、桐油、椿油について。

『コンフォルト Comfort』No.76、建築資料研究社(2004年)掲載


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| ARTICLEs 小論 | 09.09.22

SINCE 1964: 京都タワー論争をめぐって

kyototower.jpg

最近なんだか再評価の機運が高まりつつある「京都タワー」(私が京都に住みはじめた90年代半ばには、かなり白眼視されていたように思います。また、タワー内部の時が昭和で止まっていました)。建設当初に大きな論争を巻き起こした事はよく知られていますが、決着はタワーが完成してなしくずしに。完成から44年(執筆時で38年)経ちました。そろそろ決着をつけてもよいのでは。

京都げのむ』第2号(2002年)掲載の文章に若干の加筆・修正


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Tags: | ARTICLEs 小論 | 09.06.08

「聖なる風景」と「融合寺院」


ガンガーよりマニカルニカ・ガート(火葬ガート)を臨む("Banaras: Sacred City of India", Raghubir Singhより転載)

ヒンドゥー教最大の聖地として、メッカやエルサレムとも並び称されるヴァーラーナシーVaranasi。では、なぜヴァーラーナシーは大聖地となったのか。また、その聖地で現在も進行している不思議な寺院のが示唆する都市の可能性について。少し建築的な話です。

インド通信』第362号(2008年)掲載の文章に若干の加筆・修正


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Tags: | ARTICLEs 小論 | 09.05.25

コーラム紋様のデザインシステム

kolam コーラム Kolam のパターン

Fundamental Study on Design System of Kolam Pattern

南インドの民俗紋様「コーラム」では、きわめてシンプルな要素とルールに基づいて、魅力的な一筆書きのパターンが無数に描かれる。それらのパターンは、一体どのようなシステムによって生み出されているのか?

『Forma』,22, pp.31–46(2007年)に掲載。


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Tags: | ARTICLEs 小論 | 09.02.17

ヴァーラーナシー(インド)の「死を待つ人の家」

火葬ガートへ向かう葬列

ヴァーラーナシーにある「死を待つ人の家」のちょっとした歴史的背景。聖地といえども異文化との接触は避けて通れない。今では当たり前のことが、実はそう遠くない過去には当たり前ではなかった、というような話です。この文章はNHKスペシャル「アジア古都物語:ベナレス」のリサーチャーをやっていた時にあたった資料に基づいているため、番組の内容と重なるところもあります。現在の「死を待つ人の家」がどんなところかは、番組DVDに詳しく描かれています。

『建築雑誌』03年2月号(2003年)所収の文章に加筆・修正。


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Tags: | ARTICLEs 小論 | 09.01.29

古色:「古材色の再現」から「新しい表現」へ

mayu.jpg 古色づけされた杉板と引摺の土壁(繭 mayu)

町家再生などで試みた伝統的な木材塗装「古色付け」について、まとめたものです。いわゆる「古びた感じ」の表現にとどまらず、木材塗装をもっと自由に使ってもいいんじゃないかというのが主旨。神楽岡工作公司のサイトに載せている「古色に関する覚え書き」の「4.古色に関する現状と展望」に相当するものです。

『コンフォルト Comfort』No.76、建築資料研究社(2004年)掲載の文章を一部修正


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Tags: | ARTICLEs 小論 | 09.01.18

装飾と住居

fig8a.jpg 南アフリカの装飾豊かな住居("Couleurs du monde", Le Moniteur より)

ヴァナキュラー住居に見られる建築装飾の意味と機能について整理したもの。「装飾とは装飾主体となる人間と世界との関係の表現である」と考えると、建築は本質的に「装飾的」であるはずなのに、現代の建築の多くが装飾性を排除している(かのように見える)のは何故でしょう。それはおそらく「装飾主体」が誰なのか、という問題と関連しているのでしょう。

世界住居誌』、昭和堂(2005年)所収の文章を一部修正。書籍に掲載されていた図版は未掲としました。


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Tags: | ARTICLEs 小論 | 09.01.17

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