究建築研究室 Q-Labo.
究建築研究室 Q-Archi. Labo.|京都の建築設計事務所

2010年11月: 究建築研究室 Q-Labo.|https://q-labo.info/2010/11/
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三条大橋の下

三条大橋の下に、単管足場とコンパネでできた懸け造りの小屋が出現している(27日朝に確認)。丁寧にブリッジのついた入口まである。
技術といいコストといい、スクウォッターの仕事とは思われないが、なんだろう。
橋関連工事の資材置き場? 休憩所?

Tags: | MEMO 雑記・ブログ | 10.11.27 | (0)

研究レポート脱稿・町家三段活用


うちの事務所は「建築研究室」と名乗っていることもあり、ときどき研究の仕事もやったりする。ここ一ヶ月ほどは、某大きめの企業から依頼されたインドの伝統的住宅に関する研究レポートに、ずっと取り組んでいた。それがようやく先日脱稿! 肩の荷が下りた〜。机に山積みになってた資料もこれで片付けられる。
はじめはヴァーラーナシー、マドゥライの現地調査資料を中心にまとめるはずが、結局、総論から他都市の事例までフォローし、結構なボリュームとなってしまった。ご満足いただけるとよいのだけど。


というようなレポート執筆の合間に、ウェブを見てご連絡いただいた町家改修の相談の、現場確認に行ってきた。
たぶん昭和初期くらいの築で、少なくとも外見上かなりしっかりしている。町家にしては珍しく広い南向きの裏庭があり、明るい日の差し込む室内が魅力的な町家だ。

住まわれる方も、一度壊したものは二度と取り戻せないのだから、古さと新しさがバランスよく混じり合った家にしたい、という明快な考えをもっておられて、とても共感する。
現状、まず第一案としてプランと模型を作って提案したところ。今後はまだ確定的ではないけれど、是非ご一緒できればよいなと思う。

この間、自分のやってきた仕事を振り返る機会があり、要するに僕は(インドにせよ京都にせよ)、いかにして時間の流れを建築・都市に埋め込むか、というテーマをずっと追いかけていたのだということに気が付いた。そういう意味でも、とてもやりがいのある仕事だ。


ついでに、その近所でちょっと面白い町家の事例を見かけたので紹介。
同時期に建てられたであろう町家が、「町家→看板建築」の変化過程のサンプルを示すかのように並んでいるのだ。

たぶん、ほぼ原型そのままのもの(左)。
1階部分に木造モルタル箱形の増築がなされたもの(中)。建具がアルミサッシに変わって、戸袋も無くなってる。
で、1・2階全面にわたり増築してほぼ看板建築化したもの(右)。
かろうじて軒が勝っているものの、ここまでくると原型がわからない。

Tags: | MEMO 雑記・ブログ | 10.11.24 | (0)

写真撮影@荒壁廻家ほか


荒壁を廻る家が某誌に紹介されることになり、先週、完成から7年越し2度目の本格的写真撮影が行われた。撮影していただいたのは喜多章さん。どのような仕上がりになるのか、今から楽しみ。
同行は編集のT永さん、最近オープンデスクでうちに来ている稲垣君。

ちょくちょくお邪魔しているので、あらためて感慨深いわけではないけど、7年を経て随所に味わいが増しているのを見ると、やはり嬉しい。狙い通りとニヤニヤ。古色塗りを施した床板などは、2匹の猫のおかげで、数十年前の古材といって通用しそうな表情であった。

お住まいのKさん夫妻には今回たいへんなお手数をおかけした。本当にありがとうございました。でも、これを機に抜本的な家の整理改革を行った結果、家が居心地良過ぎて生き方まで変わりそう、とのコメント。すばらしい。


左:モルタル金鏝押さえのキッチンカウンター。油が若干染み込んで表情が成長している。ソリッドだけど固すぎず、ピカピカすぎなくて僕は好きな仕上げ。こちらの奥さんにも好評なんだけど、一般にはやはりステンレスがいいという方が多い。
右:韓国で買ったという照明器具がとても荒壁に馴染んでいた。それにしてもよく面白い物を集めてくるなー。


撮影終了後、「テルマエ・ロマエ」と「11人いる!」をお借りして帰る。一瞬で読了。
ローマ風呂マンガはずっと読みたかった一冊。ばかばかしくも楽しく感心する、日本マンガの裾野の広さを感じる作品だ。「平たい顔族」って…。あと、帯の煽り文が珍しくとてもよくできている。以下長いが転載。2巻も読みたいなあ。

「古代ローマの設計技師(風呂限定)ルシウス。
 仕事熱心な彼は浴槽のアイディアについて悩みまくり、
 そのあげく現代日本の銭湯にワープ!?
 彼は日本と古代ローマ(風呂限定)を往来できる
 体質になってしまったのだ!!
 好漢ルシウスの時空を越えた大冒険(風呂限定)が始まった!!」

萩尾望都は実はあまり読んだことがなかった。定評あるプロットはやはり見事で(中高生で読んでたらもっと響いただろうな)、ぐいぐい引き込まれる。SFとしても、サスペンスとしても充分に楽しめる完成度の高さ。しかし少女マンガに免疫の少ない僕は、むしろ本筋と外れた少年少女の淡い恋愛描写にどきどきしてしまうのだった。

〆切を過ぎた原稿があるのに、こんなことを書いてたら怒られそうだ。


話はまったく変わるが、その前の日は京都静原のカフェ・ミレットにて、友人の長野君の結婚パーティがあった。落ち着いた雰囲気の中で、パーティには珍しく時間をたっぷり使った、終始和やかなよい会でした。
店内の壁には、ヴァーラーナシーの大きな写真パネルが架かっていて、ちょっと驚く(下)。ご無沙汰してます、その節はお世話に…と思わず挨拶してる気分になった。写真はお店の方のお父さんの撮影だとか。

Tags: | MEMO 雑記・ブログ | 10.11.19 | (0)

河井寛次郎記念館:京都, 2008

河井寛次郎記念館:京都, 2008

「民藝」ど真ん中な設えには好き嫌いがあるかもしれないけれど、河井寛次郎記念館(河井寛次郎旧居)は、空間的な魅力において京都の町家の最高峰の一つだと思う。もう6回くらいは訪問しただろうか。
個人的に京都で好きな建築を10個あげろと言われたら、間違いなくその一つに入る。

詳しい解説は後日に・・・

Tags: | MEMO 雑記・ブログ , PICTUREs 旅と建築 | 10.11.12 | (0)

一年点検@斜庭


屋根のちょっとした水切りに鳥がとまって、糞が落ちてくるといった話も。うーん・・・

先月下旬、斜庭の町家の一年点検に。
実は竣工後も何度もお邪魔してはいるのだけど、毎回驚くほどに綺麗に住んでくれてることに感動する。
高橋工務店の内田さんと共に、外まわりから中、造作家具・設備系の点検まで。
何カ所か対応の必要のある点はあったが、左官壁のひびも建具の反りもまったく見られず、1年次としての状態は全体的にすごくよい。
庭の水はけが思ったより悪かったのが問題と言えば問題。対策を考える。


左:感動的にきれいに住んでいる。
右:日のよくあたる場所はフローリングが焼けてきた。油をそろそろ塗り直さないと


左:夏・冬とも活躍の断熱スクリーン
右:キッチンの引出しも押入れも開けて見せてもらう(奥さんスイマセン…)。

工務店のチェックの後一時間ほど時間をもらって、ご夫妻に設計に関するヒアリング。
設計段階の打合せにじっくり時間をかけた甲斐あり、かなり満足していただいてる様子。
内容を挙げていくとキリがないですが、印象的だったコメントを何点か。

・はじめリビングの天井が高すぎる(最大4.5m)かと心配したけど、住んだら全然気にならない。むしろ、もうこれより低い天井の家に住めないくらい。
・視線はちょっと気になるけど、大開口はとても気持ちいい。早く木が育つとよい。
・浴室のコルクタイルはいい。これ以外考えられない。
・キッチンの換気扇がすごいパワー(笑)
・吹き抜けの断熱スクリーン大活躍。
・天井高の低い奥まった和室部分がとても居心地のよい場所に。
・寝室の照明は、やはりベッドの中から消せるとよかった。
 (設計時、さんざん議論の末にこれをやめた経緯を振り返って)
・寝室と土間との間の窓がお気に入り。
・玄関のスリットや大型引き戸の埋め込んだアクリルの光がきれい。
・シャワーバーやタオル掛けの位置、引き出しの把手には改善の余地あり。
・・・
などなど
次は二年点検。

その前にも、遊びに来ると思いますけど。
よろしくお願いします。

Tags: | MEMO 雑記・ブログ | 10.11.10 | (0)

丹波篠山

地域住宅計画全国シンポジウム出席のため、10月28・29日と丹波篠山へ。
篠山は、市街・周辺集落あわせると、通算5回目。
駅を降りると、日本昔話に出てきそうな、丹波特有の平地からにょっきり生えた山並みが見えます。

市民センターにて地域住宅計画賞の表彰式。
三井所清典さんには、斜庭の町家について「京都の町家を現代でつくるとどうなるか、というテーマにチャレンジした点を高く評価した」とのコメントと励ましをいただきました。頑張ります。

まちづくり部門は西陣大黒町の活動が受賞し、京都市(しかも上京区)で二冠。京都市にも報告してくださいね、と言われたけれど、どこに伝えればいいのかな。


いただいた賞状はたいへんに豪華なもので、有田焼の印章が嵌め込まれた山形の金山杉の額に入っています。
家に帰ってチビ1号に持たせてみる。
でかい。そして重い…

シンポジウムの後は、篠山の街並み見学に。

摂丹型民家に起源をもつという妻入りの家が目立ちます(参考論文URLメモ)。
一般に、間口が狭く奥行きの長い敷地では、妻入りの方が材料効率がいいし、目立つファサードがつくりやすい。ただ、隣地境界側に水が流れるので、そこに排水スペースが必要になる。また豪雪地帯では、隣の家に雪が落ちてしまうため、難しい。
京都で平入りが発達したのは、「みやこ」の高密さゆえに、隣家と密着して建てて敷地を目一杯活用するためか。あるいは、街路に対して控えめに家を構えるという「みやこ」的センスのゆえか。

伝統的な建築の意匠を活かしたという市営住宅も見学。この市営住宅や集落丸山を設計した才本謙二さんの活動、また、NPO法人たんばぐみの活動は、すごく面白い。また今度伺って詳しくお話を伺いたいところです。

二日目は、限界集落の再生事例として有名になりつつある「集落丸山」(集落内の古民家を一棟貸ししている宿泊施設。値段はやや高めですが、家族でのんびりと滞在するのによさそう)の見学分科会に参加。
運営主体のNPOの方、集落の方、改修にあたった工務店の方々から、いろいろとお話を伺うことができました。具体的な改修手法もさることながら、資金計画や運営、既存制度の活用や法規対応といった事業の枠組みづくりが、行政と連携しながらきわめて綿密になされているのが印象的でした。

丸山集落の風景。谷間の地形に田畑が広がり、遠くに灰屋(はんや)が見えます。

ある自然地形の中で、どこに家を建てるか、という選択には、住み手の価値観がとてもよく現れます。現在であれば普通、平らで日当たりがよく風通しのよい「いい場所」が、家の敷地として選ばれるでしょうが、ここでは、谷の真ん中の最も日当たりがよく川に近い「いい場所」は田畑に割り当てられ、家々は山裾の斜面に建っています。

Tags: | MEMO 雑記・ブログ | 10.11.01 | (0)