竹原義二展@ギャラリー間
今月14日から、東京のギャラリー間で「竹原義二展・素の建築」が開催されてる。
三年ほど前に、竹原さんの著作『無有』を構成役としてお手伝いした縁で、13日に行われた上記展覧会の内覧会+記念パーティーに声をかけていただき、久しぶりに東京へ。
ちなみに、今回の展覧会にあわせて初めての作品集『竹原義二の住宅建築』も刊行されている。こちらは写真が中心なので、『無有
』(テキストがものすごく充実)と併読すると、竹原建築への理解がたいへん深まるはず。是非あわせての購入をお薦めします。
ギャラリー間・会場風景
4〜6寸角くらいの角材(杉か?)が内外に縦横に組みたてられて会場が構成されていて、木という素材をコンクリートか石のように、量塊的に扱う竹原建築の雰囲気を味わうことができる。木材の体積はなんと29立米あるという。普通の木造住宅2軒分。ギャラ間史上最大級の重量と密度の会場構成に違いない。建築とは概念とかイメージの操作ではなく、あくまでモノでなりたってるんだ!という、設計者の強い意志が伝わってくるよう。
会場プランもたいそう複雑なものとなっていて、竹原建築の醍醐味である迷路的プランニングの一端もかいま見れる。
しかし、竹原建築で木といえば(最近は特に)広葉樹である。なぜ今回は広葉樹を使わなかったのか、懇親会で伺ったところ、広葉樹だと比重が重すぎて会場ビルの方がもたないからだそう。
とはいえ今回用いられてる針葉樹材も、数年天日にさらして黒ずんだ材をわざわざ使っており、一風かわった木の表情が引き出されている。素材を大事にしつつも、そのままでは使わない。必ず一仕事加えて味を引き出すという、なんだか江戸前の寿司職人のような姿勢が素敵だ。
T定規による手描き図面。
職人の手仕事にこだわる以上、設計者も手仕事で応えるということなのでしょう。
このあいだの『TOTO通信』で藤森照信も指摘してたけれど、竹原義二氏の語りにしばしば登場する「1対1」「フィフティ・フィフティ」「対等」というキーワードと関連するのだと思う。真摯というか、愚直というか。とにかく背筋が伸びる思いです。
二次会にて。
建築写真家の大橋富夫さん、ICUの長田直之さん、南洋堂の新宮君らとテーブルをご一緒する。
大橋さんには撮影現場のエピソードなど楽しく聞かせてもらう。「人の写真を撮る時は、ジャンプしてもらうとよい。その仕方に人間性が表れる」という。黒川紀章は「気をつけ」をして跳んだ。
長田さんからは「どういう家を設計してるの?」「白い家?」と聞かれ、「白くない家です」と答えたら、「逆境からのスタートだねえ」と言われた(笑)。
「白い/白くない」というのは、藤森照信がいうところの「白派(抽象系)」と「赤派(モノ・形系)」のことかなと思ったが、もう少し単純なスタイルの話かもしれない。いずれにしても、「白い/白くない」という極めて乱暴な二分法なんて、人の作品を論じる際にはほとんど無意味だと思っていたのに、自分の建築に引き寄せて考えると、妙に腑に落ちてしまったのはどういうわけか。これが二分法の力なのか。しばらく悩みそう。
三次会は、アイシオールの多田さん・豊永さんと一緒に、久住直生氏が手掛けたという土のバー「六本木農園」へ。
壁から床、棚からカウンターにいたるまで左官の嵐で面白かった。あまりに土に囲まれているので、ピラミッドの石室の中にいるような気分になった。しかし、いくらなんでも建具にまで塗るのはやりすぎでない?
Tags: 左官 訪問 | MEMO 雑記・ブログ | 10.04.18 | (0)