(旧)柳沢研究室|名城大学理工学部建築学科
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あじまの家: (旧)柳沢研究室|名城大学理工学部建築学科|https://q-labo.info/meijo/020_project/000394.php
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あじまの家

名古屋市北区にある戦後ほどなく建てられたと思われる木造建築の改修です。この建物は宗教団体の本部兼住宅として使われてきましたが、長らく居住してきた施主の両親が他界したことで空き家となりました。かなり傷んではいましたが、長年地域に親しまれてきたこの建物を壊すに忍びないと考えた施主は、これをリノベーションし地域に開いたサロン兼セカンドハウスとして活用することにしました。

名称:あじまの家(改修)
所在地:名古屋市北区
用途:地域サロンおよびセカンドハウス
設計期間:2013年7月〜2014年4月、工事期間:2014年5月〜2015年3月

設計:名城大学柳沢研究室(柳沢究・徳森寛希・菅沼昂志・諸岡徹・高田宙)
施工:工作舎中村建築(中村武司・佐藤俊伸・内野史基)+名城大学柳沢研究室(小原亮介・山本将太・諸岡徹・大前貴嗣・新井美加・岡田一輝【道具係】・奥田隆太郎・切手健太・菅沼昂志【現場監督】・高田宙・徳森寛希・吉田麻美・井野健太郎・溝呂木雄介・市村千尋・大野将弥・及部友誉・加藤大誠・川端一輝・高野哲也・鈴木真由・諏訪匠・長屋美咲・松田彩花・水野由女・渡辺愛理)

大工協力/秋田和秀、コンクリート/加藤善八商店、荒壁土/前田興業、板金/村上板金、畳/浅見畳店、木製建具/村上商店、金属建具・ガラス/服部ガラス、ステンレス加工/協和テック、水道/豊田工業、ガス/若杉ホーム機器、電気/長谷電工

コンクリートタイル製作協力:平岩陸(名城大学建築学科材料生産研究室)
企画・監修:究建築研究室

2013年7月から名城大学柳沢研究室にて実測調査および改修計画の立案・実施設計を行い、2014年5月から解体工事に着手、2015年3月に完成しました。施工にあたっては、地域に開かれた場所として様々な人に関わってほしいという施主の思い、またコスト削減や木造建築について学ぶ教育的効果への期待もあり、大工・中村武司さんの指導のもと学生が中心となって工事を行いました。


>> みんなを一つにしたあじまの家改修プロジェクト(名城大学開学90周年特設サイト)




庭側外観


エントランス:庇は既存のもの


左の引き戸は建設当初の玄関


玄関扉よりホールに入る:左に土壁越しのお堂、奥に畳コーナーがつながる


ホール土間のコンクリートタイル:艶のある豊かな表情に仕上がった


ホール:柱はすべて既存のもの


キッチンからお堂の土壁とホールを見る


ホール南側壁面:左手の造作棚は以前ドアだった部分


ホール天井:改修前のフローリングや畳下地板・和室の天井板等を用いた


畳コーナーからホール、キッチンを見る


土影越しにお堂を見る


キッチン:手前の天井は元の竿縁天井、奥の天井は床のフローリングをはがしそのまま天井へ貼り直したもの。家具やカーペットの日焼けの跡が残る


キッチンからホールを見る。様々な要素の重層


畳コーナーから庭を見る:改修前には玄関だった部分

※撮影:笹倉洋平


「あじまの家」は宗教的な場であるお堂を中心として、その周囲にはりつくようにL字型の生活空間が配置された平屋です。生活の変化に応じて改修を重ねてきた形跡が随所に見られました。お堂と比較的状態の良い部屋を除いた部分を改修範囲と定めて、以下の4点を改修の基本方針としました。

①細かく区切られた空間の統合
細かく区切られていた部屋を一室空間として、多人数の集まる空間を設けました。中心となる小屋裏吹抜のホールにキッチンや土間、畳コーナーが接続します。

②お堂/改修部の関係の調整
お堂への扉は普段は閉じられていますが、この建築の象徴的中心として改修部のどこからでもその存在を感じさせたいと考え、改修部とお堂の境界壁をすべて荒々しい土壁で仕上げました。そして、そこに両者をつなぐ大小の開口部を設けました。

③時間の蓄積の空間体験
全体を一室空間としながらも、時期の異なる増築によって継ぎ接ぎされた空間の履歴を床高・天井高・仕上げ等の変化によって表現しています。また、改修前に使われていた材を様々な形で転用・再利用し、時間の痕跡を読み取れるよう配慮しました。

④大人数の学生が施工するからこそ可能となるデザイン
素人である学生の施工は作業効率や精度の点では不利ですが、熱意さえあれば時間と手間は惜しみなくかけられます。ここでは床面積50㎡たらずの工事に約1年の時間を費やしました。
○ホールの天井:比較的状態が良く再利用可能な材(フローリング、畳下地板、天井板)を丁寧に剥がし洗浄した後、一枚ずつ丸太に合わせて加工し貼りあげました。
○土間のコンクリートタイル:上足でも使用するためより滑らかな質感を追求し、大学の設備を使用して試作を繰り返しながら、艶のある大判のコンクリートタイル(1600×240×60mm、重さ70kg)を打設し敷き詰めました。
○左官仕上げの多用:左官仕上げは、特に高い精度を求めなければ素人でもある程度の施工が可能ですし、大人数での作業にも適しています。 お堂周囲の大壁面の土壁は、塗り継ぎが生じないよう13人がかりで1日で塗りあげました。


>>「あじまの家」現場集合写真集(柳沢研究室@Facebook)

「あじまの家」の工事は約20人の学生が交替で行ったので、工事の状況を共有するために毎日作業に参加したメンバーで集合写真を撮影し現場レポートを書いていました。写真の背景からは工事がだんだん完成に近づいていく様子がわかります。

工事中の様子など


解体前の様子


左:解体前の玄関(現畳コーナー)、右:改修計画の模型


解体工事


堀り方工事


鉄筋の曲げ加工


基礎補強RCスラブの打設

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キッチンの天井施工(フローリングの転写貼り)


ホールの天井板の施工


土壁の下地となる木摺の取付け


壁下地のボード工事


砂漆喰の施工


コンクリートタイルの製作


コンクリートタイルの敷設


豊田産の土


左:屋根の断熱材設置、右:土壁の施工


土壁の施工


>> 完成記念イベントの様子

建物概要:木造平屋建て、改修部面積:47㎡
主な仕上げ:
外壁(改修部):杉板
内壁:砂しっくい、土壁(豊田産の土による荒壁仕上げ)
床:杉フローリング、コンクリートタイル、畳
天井:各種古材混在転用、フローリング材転写、既存竿縁天井、ヨシベニヤ

| プロジェクト , 2014年度 , 2013年度 | 15.07.05