京都大学柳沢研究室|居住空間学講座
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2022年度

博士課程

Chusree Supachai

修士2回生

伊藤照、野田倫生

修士1回生

葛潔薇、川岸夕夏、清岡鈴、孫文倩

4回生

小森幸、杉本春佳

研究生

辻京佑、唐穎

招聘外国人学者

趙春暁(蘭州理工大学講師、10月〜)

その他

平川礼子(オープン参加、3回生)、吉村花(オープン参加、立命館大3回生、前期)


Chusree Supachai

・出身地:ソンクラー(タイ)
・お気に入りの本:「人生がときめく片づけの魔法」 近藤麻理恵
The book 人生がときめく片づけの魔法 was translated into the Thai language, (In Thai “ชีวิตดีขึ้นทุกๆด้าน ด้วยการจัดบ้านเเค่ครั้งเดียว“) it’s a book I’ve read and adapted to the way I live. I used to be the one who kept everything but after reading this book and getting to know the author, it made me aware of organizing space by donating unnecessary things. It’s not easy for me. Throwing away things, sometimes it’s like throwing away memories but she has a different idea. She said that when things are given to others and you will see more space and finally you can find that something inside of you has changed. Giving and Sharing are the key ideas, so tidying is a powerful tool, If you organize your home It will give you the energy and memory.
Simple principles are explained to new learners, one of my favorite ways is touching things so we can feel the power inside. I think the concept of the book is the same as the living design guide. It helps us to understand ourselves to prepare the living space. Finally, not everyone can build a home for themselves I think but they can provide a small living space by tidying up that will give them power and happiness.

伊藤照

・出身地:愛知
・お気に入りの本:「テスカトリポカ」 佐藤究
昨年直木賞を受賞した小説で、知っている方も多いかと思われます。麻薬組織であるカルテルや暗殺者、麻薬中毒者、闇医者などが主な登場人物で、刺激的な内容になっております。新書のデザインが目を引いたので内容は特に知らずに購入しましたが、自分が知らない世界に触れるのが好きな僕は非常に楽しく読むことができました。同じ理由で、ヤクザ映画なども好きなのですが、憧れているわけではありません。「テスカトリポカ」では、実情に沿って裏社会が描かれているので、そうした世界を少し覗いてみたい方には特にお勧めします。

野田倫生

・出身地:大阪
・お気に入りの本:「こちらあみ子」 今村夏子
とある少女、あみ子の目に映る世界を描いた小説です。純粋なあみ子と周囲の人間が互いに持ち合わせている残酷さは、時に重たくぶつかりあい、取り返しのつかない出来事を巻き起こします。
あみ子の目線で物語は進みますが、彼女の内面の決定的な描写は少なくどこか淡々としています。そうした、読んでいる自分と登場人物との絶妙な距離からうまれる不穏さのようなものが好きです。同じ本に収録されている短編「ピクニック」「チズさん」にも似たものを感じます。
難しくない言葉を軽やかに並べながら、言葉にならない感情にさせる表現にも憧れます。

葛潔薇

・出身地:南京(中国)
・お気に入りの本:「紅楼夢」 曹雪芹
中国四大名著の一つですが、日本では「三国志」に比べ「紅楼夢」は知名度がはるかに低いと思います。「紅楼夢」は、上流階級の賈氏一族の最盛期から没落までの全過程と、大貴族の深窓の令息と令嬢感情のもつれを描いています。3世紀前の中国バージョンの「ダウントン・アビー」とも言えるかもしれません。18世紀中頃、この大貴族に住んでいた400人以上の人々の日常生活の様々な側面を映し出しています。作者自身は家族の大きな変化を経験した元貴公子です。しかし、彼は、当時の社会を批判し、圧迫された下層階級や女性に共感するなど、時代を超えることができます。「紅楼夢」の「月に叢雲、花に風」という悲劇的な気質が印象に残っています。

川岸夕夏

・出身地:北海道
・お気に入りの本:「海炭市叙景」 佐藤泰志
北海道の架空の地方都市「海炭市」を舞台にした群像劇。正月に山で遭難した兄を待ち続ける少女、後妻の息子への暴力に悩むガス屋の社長、再開発に抗い街の発展から取り残された家に住み続けるおばあさんなど、市井の人々がもがきながら生きていこうとする姿は汗臭くたまらない。漁業と炭鉱で栄えた過去を持つ疲弊した海炭市の醒めた空気感の描写も秀逸。 高校生の時に初めて読んでから年に数回は読み返しては、自分と登場人物を重ね合わせているような大切な本。

清岡鈴

・出身地:兵庫
・お気に入りの本:「キツネと星」 コラリー・ビックフォード=スミス
数年前、雑貨屋さんで綺麗な装丁に惹かれて出会った本です。少し大人向けで、私が絵本の魅力にはまるきっかけとなった本の一つです。
ひとりぼっちのキツネの、唯一の友達であった星がいなくなってしまったところからお話は始まります。キツネが喪失の中でどう勇気を出して立ち直っていくのかが静かに描かれているのですが、私はこの本で表現されていることのごく僅かしか感じ取れていない気がします。何度も読み返して癒されている大事な本です。

孫文倩

・出身地:石屏(中国)
・お気に入りの本:「異邦人」 アルベール・カミュ
表紙の写真には作者がタバコを吸っていて、目付きが気強く表情が柔らかく、何だか私に魅力的だったので、この本を読み始めました。でも、読み終わった後に私の共感を呼び、とても好きです。本の内容が複雑ではなく、主人公は何事にも無関心な人です。うっかり殺人事件に巻き込まれた後、母の葬儀で泣かなかったため、感情がないと非難され、死刑判決を受けました。本の中に「どうでもいい、気にしない」という言葉が何度も出ている印象があり、私から見れば、これはごまかしや立場のないことではなく、かえって相手の決定を尊重し、むやみに判断しません。生活の中で、時には自分が他人と合わないと思って、人に迎合するふりをしますが、主人公が超然としていて、自分を固執する態度も私を励ましてくれ、自分自身を快適にさせることが大切だと思います。

小森幸

・出身地:大阪府
・お気に入りの本:「こといづ」 高木正勝
音楽のような随筆です。小さな村の移ろう季節や人々の暮らしが、じんわりと心地よいリズムで綴られています。初めて目にするオノマトペの数々は、まるでおまじない。思わず声に出して読みたくなります。文章に添えられた絵も伸びやかで、素敵です。「つくる」ことに行き詰まったとき、難しく考えすぎて踏み出せないとき、たくさんのヒントと癒しをくれるとっておきの一冊です。

杉本春佳

・出身地:神奈川
・お気に入りの本:「ハリネズミは月を見上げる」 あさのあつこ
この本は、引っ込み思案な女子高生鈴美と、気が強く鈴美とは対照的な性格の比呂が出会い、身の回りに起きることやお互いの家族の問題に向き合いながら成長していく物語です。親の離婚や姉の自殺未遂など、現実的な問題が二人の少女の視点から描かれ、どうにもならない苦しみ、世の中で当たり前と思われていることに対する疑問など大人になるにつれて出てくる悩みに共感すると同時に、2人のたくましく生きている姿に励まされました。

辻京佑

・出身地:埼玉
・お気に入りの本:「池田学画集1」 池田学
日本の画家である池田学が2010年に出版した初の作品集です。インクとペンを用いた超細密描写が特徴で、1日中描いても10cm四方しか進まないそうです。画集は、東京藝術大学時代の卒業作品『厳ノ王』から始まり、初期の大作『再生』・『存在』、そして代表作のひとつ『興亡史』と続きます。基本的に全体図のあとに部分が数ページ続くのですが、いくら拡大しても見飽きないところが魅力です。特に『興亡史』は、日本の城郭をモチーフに森羅万象が描かれており、私が建築を目指す遠因になった絵画です。最後に当時の最新作『予兆』が掲載されています。これは雪や氷で出来た波濤が遊園地や建造物などを飲み込む構図になっており、考えさせられるものがあります。画集は、東日本大震災後の大作『誕生』を中心に据えた第2集「the Pen」に続きます。

唐穎

・出身地:懐化(中国)
・お気に入りの本:「メインテーマは殺人」 アンソニー・ホロヴィッツ
これは最近読んで特に気に入った探偵小説だ。探偵小説にとって一番気になる、探偵とその assistant のやり取りが見所だと思う。Sherlork & Watson や Poirot & Hastings みたいな和やかな、そして相手を尊重し合うペアとは違い、元刑事と騙された現役小説家のペアは新鮮に感じられる。特に、ここ数年、周りくどい叙述や謎で読者を引き込もうとする推理ものがいっぱいありすぎて、たまにこういう純粋的な探偵ものもいいと感じる。
それに、元刑事と小説家の間の微妙な空気感が言葉遣いでもわかるのが特に面白かった。イギリス作者の独特のユーモアが感じられる一方、イギリスとアメリカの違いに着目するポイントが絶妙で、何度も笑わされた。

| Member メンバー | 22.04.06