みどりのゆび TISTOU les Pouces Verts
京都市役所緑政課付属都市ビオトープ研究所建設計画, 複合施設:ゴミ処理施設/研究所/ギャラリー, 京都市, 1999(計画案)
京都市役所前の地下空間につくられた、有機性廃棄物を肥料へと転換するゴミ処理施設の提案。京都大学での卒業設計作品として制作したもの。
市民がだしたゴミから生産した肥料を、あえて強権的に問答無用で町中にばらまくことで都市緑化を進めよう、というシステム(お話)の提案でもある。
学生時代、一つ覚えのように「緑の中に建築を埋める」というテーマばかりを追いかけていた(好きな建築として真っ先にあげていたのが、アンコール・ワット、スカルパのブリオン・ヴェガ墓地、フンデルトワッサーハウス、エミリオ・アンバースの作品群など。まあ、今でも好きなんですが)
本計画の構想にあたっては、それまでの単体の建築を緑化する作品に対し、建築と緑との関係を一つのシステムとして提案したいと考えていた。
最終的に、都市全体を巻き込むように緑化がすすんでいくというお話にたどりついたのは、作品タイトルの由来ともなっている童話『みどりのゆび』からの着想が大きい("TISTOU"はこの童話の主人公の名前)。また、汚染と緑化が表裏一体という構図から『ナウシカ』の世界が連想されたため、施設最深部の空間には、「腐海の底」のイメージが重ねられてたりする。
おとぎ話じみた計画案ではあるが、全体は無理にしても一部なら、じゅうぶん実現できると目論んでいるのだが…。発酵槽+屋上庭園のセットを、鉄筋コンクリート製で高さ3mくらいのスケールで。広いお庭をお持ちの方、家に一台いかがですか?
(発酵臭がかなり漂うとは思うけれど)
詳細(PDF版)
審査評(日本建築学会近畿支部卒業設計コンクール)
名称:TISTOU les Pouces Verts 京都市役所緑政課付属都市ビオトープ研究所建設計画
(発表時のタイトル:Le Coffre de TISTOU)
ドローイング:インキング、パステル
制作:1999年
掲載誌:『近代建築』1999年5月号別冊
受賞:第53回日本建築学会近畿支部卒業設計コンクール入賞
京都大学卒業設計最優秀賞(武田五一賞)