究建築研究室 Q-Labo.
究建築研究室 Q-Archi. Labo.|京都の建築設計事務所

斜庭の町家 Machiya w/Asymmetric Courtyard: 究建築研究室 Q-Labo.|http://q-labo.info/work/000031.php
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斜庭の町家 Machiya w/Asymmetric Courtyard

斜庭の町家

住宅, 京都市, 2009

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敷地は京町家の残る厳しい景観規制のかかる地区の一角。施主の要望は「可能な限り明るく広いリビング」「お互いの存在がいつも感じられる家」というもの。このような敷地条件と要望に、伝統的京町家の空間を再解釈することで応えようと試みた。
その理由は第一に、京都の歴史的街区は通り庭や奥庭を備えた町家が集合することを前提としてできているからである。街並みを含む既存街区の空間秩序を尊重し、これに謙虚にアテンドしたいと考えた。
第二には、都市が培ってきた居住の知恵を、きちんと継承したいという意図がある。町家といえば軒庇や格子といった表層的要素に注目が集まるが、都市居住の「型」として洗練された町家の空間構成は、少し手を加えれば、現代的生活にも充分有効だと考えたからである。
具体的には、伝統的京町家の空間から、切妻平入・通り庭+コア・奥庭・土間という四要素を抽出・再構成し、さらに奥庭を「斜めに振る」という単純な操作を加えることで、伝統をふまえながらも変化に富む居住空間の実現を目指した。

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①切妻平入:街並みとの調和+切妻形が生む内部空間の変化

外観は素直に切妻平入りの町家形とし、高さ・形態とも周囲に揃えている。
2階では切妻形をそのまま現した勾配天井として、天井高に変化をつけつつ、端部では壁と天井を一体化させるなどして、ワンルーム空間の中にもいろいろな場所を作りだしている。

②通り庭:通風・動線の確保+コアによる自由な居住空間

通り庭は「鰻の寝床」において効率的に動線・通風・居室を確保する優れた手法である。これにならい、各階に街路から奥庭へ抜ける通り庭状のルートを設け、さらに、それに沿って構造壁・設備・収納を集約した細長いコアを配置し、他の部分の構造的・空間的自由度を高めている。
この「通り庭+コア」と、1階に寝室・家事室・浴室といった閉じた室をまとめる構成をあわせて、2階全面にわたる広大な一室空間を作りだし、日常生活の大半を過ごす場に最大限のスペースを確保した。

③奥庭:隣接奥庭との連続+斜めの軸が生む親密さと距離感

奥庭があってこそ通り庭は環境上の意味を持つ。さらに奥庭は、隣家の奥庭と連続することで、より良好な採光・通風・プライバシーを得る。周囲に奥庭のある町家が並ぶ敷地において、奥庭の確保は必須と考えた。
ここでは、奥庭の軸線をやや振る(=斜庭 はすにわ)とともに、内壁に外壁と同じ荒い掻落しの大壁面を設けることで内外を関係づけ、奥庭の開放性を確保しつつ、中庭的な親密さをつくりだしている。飛び出た客室や浴室は、斜庭をはさんで居間・寝室と対面し、母屋に対する離れのような、不思議な距離感が生まれている。

④土間:街と家をつなぐ多用途スペース

土間は街と家をつなぐとともに、内部の多様な使われ方を生む。玄関と「通り庭」に連続し、街路に大きく開く土間を設けた。ここから京都の街が家の中へ引き込まれていく。
これは来客用駐車スペースをセットバックせずに設け、かつ内部空間として有効活用するための方策でもある。地蔵盆の舞台として、地域に開くことも想定したスペースである。

>> 計画・施行のプロセスはこちら

名称:斜庭(はすにわ)の町家
所在地:京都市

設計:究建築研究室(柳沢究)
施工:建築/高橋工務店(阿久根組・内田誠二)、左官/久住左官(三宅)、基礎/山川建設(山川)、プレカット/浦谷製材所(浦谷)、植栽/松崎大輔・水谷馨、樋・板金/寺井板金製作所(寺井)、塗装/タナカ塗装店(田中)、タイル/マルゲンタイル(平田)、木製建具/トクダ建具(福本)、家具/小林木工業(小林)、瓦/谷建材工業(谷)、サイディング/ゴウダ(亀井)、金属工事/羽賀金物(羽賀)、サッシ・ガラス/カネマル(石田)、給湯・ガス/宮野商事(宮川)、電気/鎌電(横江・坂根)、設備/林工業所(林)、床暖房/富士環境システム(渡辺)

景観:歴史遺産型美観地区
建物概要:専用住宅・在来木造2階建
面積:敷地/94.51㎡、建築/56.42㎡、延床/112.84㎡
竣工:2009年9月

標準仕上:
外壁:モルタル掻落し、金属サイディング  
屋根:桟瓦+ガルバリウム鋼板腰葺き
内壁:モルタル掻落し、松羽目板、プラスター研ぎ出し、PB+AEP、シナ合板+CL
床:洗い出し、無垢フローリング(メルバウ)+荏油、コルクタイル
天井:構造用合板現し、PB+AEP、プラスター研ぎ出し

受賞:
京都デザイン賞2009 入選
第5回地域住宅計画賞(作品部門・すまいづくり、2010)
京都建築賞 優秀賞(2013)

掲載:
『モダンリビング』2011年7月号『京都新聞』2010年12月1日 『チルチンびと』2010年11月号『Richer リシェ』2010年1月号

Tags: | WORKs 仕事 | 10.01.03

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