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設計料について Design Fee

当事務所では設計監理料の算定に、延べ面積をベースとした方式を採用しています。
>> その理由

50坪以下の住宅・店舗の設計料

構造・規模設計監理料
新築鉄骨造・RC造など10万円〜/坪
木造・3階建
木造・2階建以下9万円〜/坪
改修間取りの変更を含む大規模改修6〜10万円/坪
一部の改修・インテリアなど5万円〜/坪

※消費税別。1坪=3.3平米として計算(四捨五入)


ただし上表の数字はあくまでも目安であり、規模・用途・予算などの実状に応じてご相談の上決定させていただきます(床面積が大きい場合は単価が下がります。別途ご相談ください)。

>> 設計の流れ  

  • 監理について:「設計料」と略記する場合もありますが、正確には「設計監理料」です。当事務所では「設計のみ・監理なし」という仕事は原則として受けません。監理は、完成物の質を左右する設計と不可分の業務であり、設計者の重大な責務と考えています。
  • 規模が小さい場合:設計監理料に下限を設定させていただく場合があります。
  • 戸建て住宅の全面改修・古民家再生(町家再生):基本的に新築に準じますが、規模により大きく異なりますので、個別に見積もりいたします。
  • 構造設計料:構造設計が必要となる場合は別途となります(工事費の1.5%〜)。
  • 確認申請:確認検査機関へ支払う手数料は別途実費をいただきます。
  • その他の手続き:確認申請以外の諸手続き(宅地造成許可・開発許可・風致許可・住宅性能保証申請・長期優良住宅申請など)については、別途手数料をいただく場合があります。

面積を基準として設計料を算定する理由

ちょっと長くなりますが、柳沢なりに考える「設計料とは」という話です。参考にしていただければ幸いです。

設計料の算定にはいくつかの方式が用いられていますが、まず根本的な問題は「設計料は何を基準にして計るのが適当か」という点です。設計料に影響する要素はいろいろありますが、常識的に考えれば「その設計に必要となる作業量と経費を基準とする」と考えてよいかと思います。
そうすると次に「どのように設計作業量を事前に測定するか」ということが問題となります(経費は一般には作業量に比例すると考えられます)。
そのような観点から、まずは「料率方式」と「略算方式」という二つの設計料算定方法を見てみたいと思います。

※以下で用いる「建築規模」という語には、単なるサイズだけでなく、間取りの複雑さや要求性能の高さといった質的要素も含まれると考えてください。


料率方式

最もよく知られているのは、総工事費に一定のパーセンテージ(新築10〜15%, 改修15〜20%など)をかけることで、設計料を算定する「料率方式」です。この方式を採用している事務所は多くあります。

しかし総工事費というのは、一見、設計作業量と密接に関わってそうな気がしますが、よく考えれば本質的には関係の無い数字です。そこから設計料を導くこの方式が用いられるのは何故でしょうか。
おそらくその根拠となっているのは、①建築規模と設計作業量は比例する、②建築規模と工事費は比例する、ゆえに、③設計作業量は工事費と比例する、という三段論法だと思います。
また設計者の負う社会的責任は、端的にいえば、設計する建築のコスト(その建築の社会的価値の指標)に比例して大きくなります。料率方式は、この責任の大小を設計報酬に反映するという意味もあるのだと思います。このことはあまり意識されませんが、重要な点です。
けれども料率方式が広く普及しているのは、なんといっても簡単に設計料を算出することができるためでしょう。わかりやすさは、クライアント・設計者双方にとって大きなメリットです。

しかしながら、簡単であるがゆえに、不合理な問題が生じることもしばしば指摘されています。
上の三段論法が、うまくあてはまるケースも多いのですが、そうでない場合もまたあるからです。「①建築規模と設計作業量は比例する」はほとんどの場合にあてはまるのですが、よく問題となるのは「②建築規模と工事費は比例する」の部分です。特に住宅設計の場合に顕著なのですが、これが成り立たないことが多いのです。

たとえば、まったく同じサイズ・間取り・構造の設計(つまり建築規模が同じ)でも、仕上げや設備のグレードを高くするだけで工事費総額が上がり、それに付随して設計料も高くなるという現象が起こります。
しかし実際には、仕上げや設備のグレードは設計作業量にさほど影響しないので、これは、クライアントの立場で考えると納得しがたい状況です。

また、たとえば「ローコスト」を追求する場合、「建築規模(質)を下げすぎずに工事費を下げる」ことを目指すわけですから(そうでなければただの「安かろう悪かろう」です)、そもそも前提として②が成り立ちません。そして、このギャップを埋めるために必要となるのが、たとえば、設計の工夫(より多い設計作業量)であり、要望の整理・合理化という作業です。
したがって、ローコスト住宅に料率方式を適用すると、通常予算のケース以上に様々な設計上の工夫(一般的でない素材・設備の選択や特殊な間取りの検討、新しい施工方法の考案まで)が必要となるにもかかわらず、ローコスト化を達成すればするほど設計料が下がるという、設計者にとっては涙ぐましい事態が発生します。


国の定める方式

一般にはあまり知られていませんが、設計料算定方法は国によって定められています。
「法定業務量」に人件費をかけ、それに経費と技術料を加えて計算する方式(下の式)です。実費加算方式と略算方式がありますが、ここでは略算方式をとりあげます。
この「法定業務量」すなわち設計作業量を計る基準として国が採用しているのは、建築の用途と規模(面積)です(以前は工事費が基準だったのですが、上に述べたような料率方式の問題を回避するため平成21年に改訂されました)。

 業務報酬=直接人件費+直接経費+間接経費+特別経費+技術料(+消費税)

   直接人件費:業務量(時間)×人件費単価(時給)
   業務量:標準業務量+追加業務量(用途・規模毎に基準が定められている)
   特別経費:特殊な調査や外国出張費など
   技術料:経験や情報の蓄積等に基づいて発揮される技術力、創造力の対価

 >> H21年国土交通省告示15号(pdf)   >> 解説   >> Q&A

技術料をどう事前に評価するかという難しさはありますが、理にかなった明快な算定方法ではあります。できればこの方式を採用したいところですが、下記のように、簡易な控えめの試算によってさえ、現在の設計料相場を大きく上回ってしまいます(逆に言えば、現在の設計料相場は相当に安いと…)。
残念ながら、少なくとも住宅設計においてこの方法を採用するのは、現状では難しいと言わざるをえません。

● H21国土交通省告示15号の略算方式による設計料試算例

条件:木造2階建て戸建住宅 延べ面積150平米 詳細設計あり 構造設計なし

 標準業務量:1054時間(告示別表第14)
 追加業務量:無し
 人件費単価(時給):2875円
  (国交省H22設計業技術者単価の表①一番下 ÷ 8時間)
 直接経費+間接経費:直接人件費と同額(告示第4のロによる標準)
 特別経費:無し
 技術料:無し

 設計料(税別)=直接人件費+直接経費+間接経費+特別経費+技術料
        =(1,054×2,875)+(1,054×2,875)+0+0
        = 6,060,500 円

以上のように、設計料(消費税別)は約600万円となります。
あくまでごく標準の業務内容、技術料無しとしてです。
料率に換算すると、工事費80万円/坪として約17%(70万円/坪だと約19%)、
面積ベースで考えると、約13万円/坪相当となります。

面積を基準とした方式

当事務所では以上のことから、クライアントと設計者の双方にとって、なるべく分かりやすく合理的な、かつ現状に即した設計料の基準をと考え、床面積をベースとした方式を採用しています。国の定める算定方式がそうであるように、設計作業量に最も大きく影響するのは工事費よりも建築規模であると考えるからです。
用途は主に住宅・事務所・店舗等を想定し、単位面積に構造・工事種別毎の単価を乗じることで、建築規模をわかりやすく設計料に反映させるというものです。この方式では、大きさ・構造が同じであれば、仕上げや設備のグレードにかかわらず設計料は同額となります。また面積を基準とするため、基本設計などの早い段階で設計料を把握できるというメリットがあります。

設計料の現状をご理解いただきたく、つい長々と書いてしまいましたが、もちろん、設計料算定方法の是非よりも、ずっとずっと大切なことがあります。
設計者として、「この建築でこの設計料は安い」と思っていただけるよう頑張りたいと思います。

| POLICY 方針 | 10.03.08