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呑みながら講義@Loki

2009/7/10(金)

午前中に打合せを一件すませ、午後はうちの事務所ビルの大家さんと、8月に企画しているスライド会の会場について交渉(空きビルのワンフロアをまるまる借りようと画策しているのです)。その後、T邸現場監理。
晩から図師宣忠氏と合流し、焼き鳥をつまみんだあと、Loki Academicaの「呑みながら講義」第一回に参加。

講師は京大博物館の塩瀬隆之氏。「からくり人形からロボットに伝承された技術」というお題から、からくりの機構的な話かと想像していたが、中身は主にコミュニケーション論であって、それが抜群に面白かった。


時計をきっかけとする歯車技術の進歩から複雑な動きをする人形(オートマタ)が生まれ、さらに19世紀の産業革命による蒸気機関の発明により、人形に動力が組み込まれ自律的な動きをするという現在のロボットのイメージが形作られたという(「ロボット」ときいて思い浮かぶゴツゴツした金属的なイメージというのは、この時代の蒸気機関、たとえば蒸気機関車の造形に由来するんですね)。
その後20世紀日本では、アニメやマンガ(鉄腕アトム、鉄人28号からガンダム、エヴへ)を媒体として、人型ロボットのイメージが国民的に共有されつつどんどん膨らみ、かつ洗練されていく。その成果が、90年代後半の人型二足歩行ロボットプロトタイプとして花開いたと。
しかしメカニズム部分の進歩がある一方で、ロボットが備えるべきとされる一つのイメージ「人工知能」については、今のところ限界があると。
ロボットは、あくまでセンサーによる情報取得を行い、それを一定の条件下で処理・判断し、それに対応したアウトプットを行うことしかできない。ポイントとなるのは「一定の条件」の幅で、たとえばチェスのように、入出力の条件がルールによって非常に狭く限定された状況には対応できるが、たとえば、対戦相手が怒ってチェス盤をひっくり返したりすると、ロボットには対応できないというような話。
ロボットにはそのような限界がある。しかし、それにもかかわらずロボットは今や生活の隅々まで浸透している(ATM、カーナビ、飛行機自動運転システムとか)。
そこで課題としてあがってくるのが、ロボットといかにコミュニケーションをとるか、というテーマ。

印象的だったのは、コミュニケーションの隠喩として、よく「キャッチボール」があげられるけど、実は「ビーチバレー」と考えた方がよいという話。
キャッチボールの例えでは、ボールを相手に向けて投げ、それをちゃんと受け取ることが大切と理解される。もちろんボールが意図やメッセージである。
しかし実際のコミュニケーションでは、必ずしもボールは自分が構えているところに向かってはこない。ボールを返すにも、そもそも相手がどこに構えているかを見極めるのは非常に難しい。だから、まず大切なのは、飛んできたボールを拾うことであり、相手が拾える範囲で返すことだと。だからビーチバレー(バレーじゃないのは、バレーが相手のいないとこにボールを落とすことが目的なのに対し、ビーチバレーはラリーを楽しむとこに本質がある、ということでしょう)。
いまのロボットのレベルでは、キャッチボールもできず、「ピッチングマシン」に過ぎないとも。
ロボットとのコミュニケーションを考える上ででてきた発想らしいが、それが人間同士のコミュニケーションにも十分に示唆的なところがすばらしい比喩。

長くなるのでこのへんでやめますが、ほかにも「歯車=コミュニケーション→摩擦が大事」の例えや、「悪いのは地球の重力に魂を引かれた人間達だろっ」というカミーユの台詞を交えながら、一時間強、卓越した話術とプレゼンテーション力による笑いの絶えないレクチャーでした。いやー、世の中には面白く賢い人がいるものです。
会場は20人でいっぱいでしたが、もったいないというか、贅沢というか。

レクチャー終了後も、図師と二人で塩瀬さんを囲み、今日の話題以外の研究テーマのことなど、2時くらいまで延々話をきかせてもらいました。
塩瀬さんに、「もともと機械工学出身ということだけど、何故こういうコミュニケーション論に展開してきたのか?」という質問をすると、「機械は人間が使うものだから、結局、人間とどういう関係をもてるかが一番大事」という(主旨の)答え。
昨今の建築界の議論を思い浮かべ、うーむと唸り腕組むことしきり。心地よいショックをたくさんもらった一晩でした。

Tags: | MEMO 雑記・ブログ | 09.07.16 | (0)

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